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「2DKに50袋分のゴミの山」亡くなった1人暮らしの毒親、45歳息子が語る後始末

「最初に“最低限のことしかやらない”と決めた」

「僕は最初に“最低限のことしかやらない”と決めました。民法上の扶養の義務は果たす。仕事も家庭もあるからできる範囲でサポートする。半分“業務”という意識でいました。親に介護が必要になった時に、親子関係が良ければ、何かをしてあげたい気持ちは分かりますが、住環境を良くしてあげたい、いい食生活をさせてあげたいなど、お金はいくらかけても際限がありません。世の中の人は、親孝行が義務だと思っているし、世間体に取りつかれていると思います」  それなので、Wさんが食費をサポートしたといっても、月額1万円程度だったという。100円均一ショップを活用し、食事も冷凍食品など日持ちのするものにしていた。

介護離職は絶対にしないほうがいい

 昨今、「介護離職」という言葉をよく耳にするが、Wさんがお父さんの介護中に利用した公的な休暇制度はなかったのだろうか。 「『介護休暇』『介護休業』は就業規則に記載の有無を問わず、条件を満たせばどの企業でも利用できる国の制度です。この制度は、親の状態が『要介護状態であること』が条件です。要支援2で、ある程度、自立生活が可能だった父は制度対象外でした。僕の場合、父宅への訪問は会社休業日(土日祝)のみで対応できました」  厚生労働省のいう要介護状態の目安は「2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態」だ。必ずしも要介護1~5の認定が必要という訳ではない。また、介護休暇中は無給なので、有休休暇を使い切ってから介護休暇を利用するのが一般的なようだ。介護休暇は、賃金は発生しないものの「無断欠勤」にはならない。 「僕は、介護離職は絶対にしないほうがいいと思います。その先を考えると、経済面で不利になる・再就職が難しくなるからです。できる範囲の介護だけをすればいい」
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父が亡くなった時は涙が出た
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立教大学卒経済学部経営学科卒。「あいである広場」の編集長兼ライターとして、主に介護・障害福祉・医療・少数民族など、社会的マイノリティの当事者・支援者の取材記事を執筆。現在、介護・福祉メディアで連載や集英社オンラインに寄稿している。X(旧ツイッター):@Thepowerofdive1

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