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「2DKに50袋分のゴミの山」亡くなった1人暮らしの毒親、45歳息子が語る後始末

父が亡くなった時は涙が出た

 そんなWさんの父は入院先の病院で亡くなった。第一報を聞いたとき、嫌っていた父の死にWさんは想定外に「悲しい気持ちが一瞬グワッときた」という。その後も葬儀の時に再度、涙を流した。 「なぜ、あれほど避けていた父の死が悲しかったのかは、自分でもよく分かりません。1人の人間とこれだけ長く付き合うことはないからでしょうか。悲しい感情がありました」  だが、それ以外は一切、悲しい気持ちはなく、父のもろもろを片づけたいという気持ちだった。 「慶弔休暇5日間の間にできることを済ませました。死亡診断書の提出、年金事務所に年金の打ち切りの手続き、介護・医療保険を止める申請が必要でした。優先的にやらなければいけないことを終わらせていき、葬儀も終わり翌週以降は、土日を利用して、遺品整理を始めました」

45リットル50袋分のゴミの山

Wさん

実際に出てきたゴミ

 父の住むアパートはさいたま市内のごく一般的な2DKのアパートだったが、そこには多すぎるほどの遺品が遺されていた。 「かさばったのは衣類と書類の山でした。二度と見返さないだろう会社を経営していた頃の書類、年金・保険類の領収証などをファイリングして何十年分も取っていました。また、もう絶対にサイズも合わず着られない現役時代の父自身のスーツがたくさん。僕が社会人の頃に着ていたウィンドブレーカーまで取っておいていました。その処分が大変でした」  兄夫婦と弟・Wさんは昼から整理を始め、夕方までの4日間ほどかかった。アパートの駐車場は2台分のスペースを借りていたが、1台分には物置を置いていた。生前の趣味だった日曜大工の工具が山ほど入っていた。 「さすがに処分し切れず、処理業者を呼びました。その費用に50万円ほど。小規模な葬儀でしたが葬儀費用で50万円かかりました。100万円くらいの貯金があれば良かったのですが、父の預金残高はほぼなく、兄弟で負担しました」
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親の考えを変えるのはムリゲー
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立教大学卒経済学部経営学科卒。「あいである広場」の編集長兼ライターとして、主に介護・障害福祉・医療・少数民族など、社会的マイノリティの当事者・支援者の取材記事を執筆。現在、介護・福祉メディアで連載や集英社オンラインに寄稿している。X(旧ツイッター):@Thepowerofdive1

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