「4℃(ヨンドシー)」が大量閉店した納得の理由。“女性に敬遠される”のは過去の話に
中小企業コンサルタントの不破聡と申します。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、「有名企業の知られざる一面」を掘り下げてお伝えしていきます。
クリスマスシーズンを迎え、色めき立つジュエリー業界。男性からのプレゼントの鉄板ブランドの一つが4℃。毎年、クリスマスにSNSを賑わすことで知られています。
ジュエリー業界の勢力図は大きく塗り替わろうとしています。ヨンドシー、ダイヤモンドシライシ、アイプリモの業績からその片鱗が見えてきます。
ヨンドシーホールディングスは、2018年2月期から5期連続の減収減益に見舞われていました。ジュエリーの主力販売チャネルの一つだった百貨店の集客力が落ちていたところに、新型コロナウイルス感染拡大で直営店も大打撃を受けたのです。2021年2月期は売上高に当たる営業収益が前期比12.3%も減少します。
ヨンドシーは当初、ファッションジュエリーの商品力強化やブライダル専門店の集客力向上など、全方位的な取り組みを行っていました。しかし、2023年2月期に大胆な収益改善策を打ち出します。それがブライダル店舗の選択と集中でした。
2023年2月期の1年間でブライダル専門店を18店舗退店し、24店舗まで縮小します。2023年8月末までで更に20店舗まで絞り込みました。つまり、およそ1年半で店舗数は半減したのです。
選択と集中を行った効果は目覚ましく、2023年3-8月のジュエリー事業の営業利益率は6.8%。前年の4.5%から2.3ポイントも上昇しました。
ヨンドシーのファッションジュエリーの弱点は、男性客がメインだったこと。男性目線と女性目線がかみ合わないことが、SNSで論争を巻き起こす要因の一つになっています。
しかし、ファッションジュエリーに経営資源を集中し、ブランドの再構築を行った結果、女性客の売上高は2023年2月期に37億円となり、前期比3割増となりました。女性から敬遠されるイメージは、過去のものとなりつつあります。
選択と集中でファッションジュエリーをリブランド
かつては女性から敬遠されがちだったが…
フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界
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