若者の“宝くじ離れ”が進む一方で…「当選確率はゼロに近い」のに一発逆転を狙う”氷河期世代”の悲哀
中小企業コンサルタントの不破聡と申します。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、「有名企業の知られざる一面」を掘り下げてお伝えしていきます。
バレンタインジャンボ宝くじの販売が3月10日で終了になります。1等賞金2億円、前後賞合わせて3億円という夢のチケット。この宝くじですが、購入する若者が減少し、勢いを失っています。将来的には一発逆転志向が強い氷河期世代がすがる、貧困の罠の温床ともなりかねません。
2023年のジャンボ宝くじの販売実績額は3197億円。2003年は5497億円でした。およそ4割の減収。20年で2000億円以上が蒸発したことになります。
その要因の一つとなっているのが、若者の宝くじ離れ。2010年の調査で「最近1年間の宝くじ購入者」における18~29歳の割合は13%でした。2022年の調査ではわずか7%。30~39歳も19%から13%ほどに減少しています。
一方、50~59歳は19%から24%、60~69歳は18%から24%、70歳以上が15%から22%へとそれぞれ増加しているのです。また、就職氷河期世代が大半を占める、40~49歳の購入比率も16%から20%に増加しています(「宝くじ」に関する世論調査)。宝くじのメインターゲットは人生がひと段落した年齢層の高い人へとスライドしました。
若者が宝くじを購入した背景として、「toto」などのスポーツくじの台頭や、窓口販売がメインであることなどがあると言われています。確かに要素の一つとしてはあるかもしれませんが、価値観の変化が最も大きいのではないでしょうか。
博報堂は30年の間で変化した若者の価値観に関する調査を実施しています(「若者調査」)。これは1994年と2024年とで、19~22歳未婚男女を対象に調べたものです。
「今一番欲しいものランキング」において、今も昔も1位は「お金」。金銭欲という感覚は普遍的なもので、これは変化していません。注目したいのは2位で、1994年が「ツキ・運」であり、2024年は「時間」。現代において、「ツキ・運」は7位にまで落ちています。
就職氷河期世代は1993年から2005年に学校を卒業した人たち。手書きのエントリーシートを100社送って、1社でも内定が出ればいいという時代でした。いわゆるブラック企業であっても内定をもらえれば御の字。就活で魂を削る思いをした人も少なくないでしょう。
その一方で、現在は超売り手市場。初任給30万円は当たり前の時代になりました。多くの若者がワークライフバランスを重視し、条件のいい会社を当たり前のように選ぶ時代になっています。
氷河期世代はツキと運、現代の若者は時間を重視するというのは、その時代背景を如実に表しています。

写真はイメージです
“宝くじ離れ”の要因は?
氷河期世代の若者はツキと運を重視
フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界
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