更新日:2024年02月02日 18:35
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「自ら命を絶った作家」と「池袋」。両者の間に存在する“不思議な共通点”

「楯の会」の制服に異常にこだわっていた

ここで今回はもう少しこの論点を飛躍させて、両者の符号について考えてみたい。取り上げたいのは「コスプレ」ということである。 三島由紀夫は現代でいう「コスプレ」好きであった。有名なのが、彼の初期の代表作『仮面の告白』にも登場した聖セバスチャンになりきった写真である。写真家の篠山紀信が撮影したもので、三島のお気に入りの作品だったという。三島は自身が被写体となって『薔薇刑』という写真集も出版していて、「変装」に対する並々ならぬ想いがあったことはこの写真集からもうかがえる。 彼が結成した世界最小の軍隊「楯の会」についても触れたい。三島は「世界最小の軍隊は、世界で一番格好良くなければ駄目だ。僕はいろいろ調べたが、フランスのドゴールの軍服が一番いい」と述べ、実際にその制服をデザインした五十嵐九十九に「楯の会」の制服のデザインを依頼した。三島はその制服のディティールに異常にこだわったという。それもまた、彼にとっては一種の軍隊のコスプレのようなものだったのかもしれない。

「コスプレ体験」がふるさと納税の返礼品に

  さて、実は、池袋という街もまた、「コスプレ」が有名な街である。ここで一気に時を現代に戻してみよう。2023年12月25日、以下のようなニュースがあった。 <「聖地」池袋抱える豊島区、「コスプレ体験」を返礼品に…衣装・メイク・撮影セットなど>(読売新聞オンライン) 池袋は「コスプレの聖地」としてコスプレイヤーから有名で、なんと「ふるさと納税」の返礼品として「コスプレ体験」が選ばれるほどなのだ。
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池袋がコスプレの聖地になったのは…
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ライター・作家。チェーンストアやテーマパークをテーマにした原稿を数多く執筆。一見平板に見える現代の都市空間について、独自の切り口で語る。「東洋経済オンライン」などで執筆中、文芸誌などにも多く寄稿をおこなう。著書に『ドンキにはなぜペンギンがいるのか』(集英社)『ブックオフから考える』(青弓社)
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