更新日:2024年01月29日 14:39
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町田のアトリエを襲った“大規模火災”現場を訪問。アート作品消失でも「不思議と悲壮感はない」

火事と聞いても現実感がない

火災後、火の勢いで天井の鉄まで曲がってしまっている

――具体的には、どんなものが燃えてしまったんですか?東間さんの私物も燃えてしまったんですか? 東間:僕の私物は、たまたまよく使うカメラのレンズを持って帰ってきていたので、スタジオの照明とか細かい事務機材があっただけ。額面にしても、せいぜい数十万円から百万ですね。機材の損害は他の作家さんが使っていた電動工具、高価なインパクトとかチェーンソーもかなりの額ですが、まあでも、なんといっても彼ら、彼女たちが保管していた何百点もの作品でしょう。 ――アトリエにはどんな作品が置いてあったんですか? 東間:何年か前、雑誌『美術手帖』の80年代回顧の特集記事でも取り上げられた巨大な金属や樹脂の作品をはじめ、ニューウェーブと呼ばれた当時のムーブメントに関わりのある作品もたくさんありました。もし残っていれば、後世また再評価されるような作品もあったかもしれません。それらはギャラリーで展示したときは100万円単位で販売していたものなので、単純計算すると金額的にはとんでもない額になると思います。 ここのアトリエは43年前に多摩美術大学の院生だった僕の先生が始めたアトリエです。だからここに在籍しているのは、年齢的に60歳代の人が多いので、「あぁ、こんなのあったな」って、長い間忘れられてた過去の作品と対峙している人も多いですね。

大規模な片付けがこんな形で

――火事と聞いた時はどう思われましたか? 東間:いやぁ〜現実感がないというか…。古い建物なので漏電や作業中の失火なんかにはみんな注意を払っていたんですが、まさか貰い火で火事が起こるとは全く思ってなかったです。でも不思議と、みんなそんなに悲壮感はないんです。若者が多いアトリエだとまた違うかもしれないんですが、ここはもう43年も続いているので、先送りにしていた大規模な片付けがまさかこんな劇的な形で!みたいな(苦笑)。

美術作家のアルミマンこと飯島剛哉さん。1月の自分の展示が中止になり、非常にガッカリしているが、今は撤去作業を手伝っている

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民事に勝訴しても払ってくれない可能性大
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放送作家を経てフリーライター&作詞家として活動中。好きなテレビ番組は「ザ・ノンフィクション」、好きなラジオはTBSラジオ、得意料理は春巻き。得意領域はカルチャー、音楽、芸能、住宅、美容など。Twitter:@rokohiroko
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