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過酷ノルマに追い詰められる“生保レディ”の壮絶体験「50人くらいの知り合いを失いました」

友人たちにも勧誘、人間関係を失う

――つらかったことの2位と3位もお伺いしたいです。2位は? 忍足:「保険会社の人間です」と言うだけで、嫌われてしまうケースです。何度も経験しました。宗教やマルチ商法のように、上司から「保険はいいものだ」と言われて洗脳されていたから、知り合いを勧誘するんですよ。怪我をしたり、病気になったら大変だ! と信じていて。  結果、大学時代の30人か40人ぐらいいたグループLINEから追放されました……。学生時代の先生にも着信拒否されて、合計50人ぐらいの知り合いを失いました。人生であれだけ嫌われたのは初めてです。

正社員募集でもフタを開けてみたら……

――つらかったことの3位は。 忍足:正社員ではなく、個人事業主として雇われていた現実です。募集要項では「正社員募集」と謳っているのに、いざ入社したら実態は個人事業主。いまだに表に出ていなくてなあなあになっているんですけど、違法だと思います。労基に行きましたけど、「保険会社はダメです」とシャットアウトされて、何もできませんでした。 ――忍足さんは、休職するまで仕事で根を詰めてしまいました。頑張りすぎてしまう人に声をかけるなら。 忍足:大切なのは、仕事よりも自分自身。休職することに罪悪感を覚える人もいますけど、私のように自殺しようとまで追い込まれるよりはマシ。休職が難しいなら、転職でもいいんです。苦しみや身を粉にして働くのは美徳じゃないから、どうか自分を優先して守ってほしい。保険会社にもいましたよ。「熱が38度あるけど、アポがあるから行かなくちゃ」とか。日本も海外のように、フレンドリーに休める社会になることを願っています。  育休や産休なども政府が推奨しているものの、なかなか進まない。フレンドリーに休める社会が浸透してほしいものだ。 <取材・文/内埜さくら>
うちの・さくら。フリーインタビュアー、ライター。2004年からフリーライターとして活動開始。これまでのインタビュー人数は3800人以上(対象年齢は12歳から80歳)。俳優、ミュージシャン、芸人など第一線で活躍する著名人やビジネス、医療、経済や一般人まで幅広く取材・執筆。趣味はドラマと映画鑑賞、読書
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気がつけば生保レディで地獄みた。 気がつけば生保レディで地獄みた。

えぇ!今月の給料9千円!?

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