ニュース

「2006年に閉園したテーマパーク」全国有数の温泉地に表現した“アメリカへの憧れ”が、廃墟になってしまった理由

鬼怒川の活気が失われ、閉園を余儀なくされる

閉園の原因は、鬼怒川温泉自体の活況が無くなってきたことが大きい。2003年に鬼怒川温泉一帯の施設に多く融資を行なってきた足利銀行が経営破綻。その煽りを受けて、多数の旅館が廃業を選択。現在でも鬼怒川温泉には巨大な旅館の廃墟が残されているが、ウェスタン村も廃墟群の一角を占めているのだ。 2011年のある記事によると、大南兼一はこの年の5月29日に脳溢血で逝去した。享年65歳だったという。2009年にはウェスタン村の廃墟で大量のアルミの窓枠が盗まれる事件もあり、そこには往時の輝きは全くなかった。失意の中で大南は亡くなったと思われる。先ほど引用したインタビュー記事はこのように締めくくられている。 「いろんな人と会え、いろんなことをやった」と、自分の人生を「ラッキー」と形容する大南氏。牧場から街をつくり、今、一国の顔をも完成させようとする。”日本版西武開拓史”の人生と言ったら大袈裟だろうか。(『アミューズメント産業』23-2)    テーマパークには、人生が詰まっている――。 <TEXT/谷頭和希>
ライター・作家。チェーンストアやテーマパークをテーマにした原稿を数多く執筆。一見平板に見える現代の都市空間について、独自の切り口で語る。「東洋経済オンライン」などで執筆中、文芸誌などにも多く寄稿をおこなう。著書に『ドンキにはなぜペンギンがいるのか』(集英社)『ブックオフから考える』(青弓社)
1
2
3
おすすめ記事
ハッシュタグ