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ディズニーランドは「なぜ浦安にあるのか」“もう一つの候補地”が選ばれなかった、決定的な理由――仰天ニュース・大反響トップ10

日本側主導で作られた「東京ディズニーシー」

それは、東京ディズニーシー(以後、TDS)のことだ。TDLは、アメリカ側が主導して、アメリカのディズニーランドをそのまま移植するように作られた。実際TDLは、フロリダにあるディズニーランドの一つ、「マジック・キングダム」と非常に似たパークの構造をしている。 それに対してTDSは、そのパーク作りの多くを日本側が主導して行った。例えば、当初TDSのシンボルとして考えられていたのは「灯台」だったのだが、日本人にとって灯台はどこか物悲しい風景を思わせる、ということでこの案は却下される。 その代わりにシンボルとなったのは地球をモチーフにした「アクアスフィア」で、これは現在、ディズニーシーのエントランスを入ってすぐのところに置かれている。日本人の感性に合わせたパーク作りが行われたわけである。

中央に「富士山を思い起こさせる」火山が

そんな文脈を踏まえて見てみたいのは、ディズニーシーの中央にそびえている「プロメテウス火山」である。高さ51mにもなるこの擬似的な火山の姿を見て、私はどうしても富士山のことを思い出してしまう。 「TDLが拒否した富士山が、TDSに回帰してきているのではないか?」そんな妄想が私の頭をよぎるのだ。実際、プロメテウス火山について調べてみると、その山のモチーフはイタリアにあるヴェスヴィオ火山で、その火山の種類は成層火山というタイプ。 実はこれ、富士山と同じタイプの火山である。ディズニーランドとの比較で考えたときに「城」という人工のシンボルに対して、「山」という自然のシンボルを配置したのかもしれないが、ディズニーシー自体が日本人主体で作られたことを考えると、そもそも日本人が潜在的に持っていた「富士山」といったものへの思いが、このプロメテウス火山を作らせたのだとも思えてくる。
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TDSについては意外と語られていないからこそ…
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ライター・作家。チェーンストアやテーマパークをテーマにした原稿を数多く執筆。一見平板に見える現代の都市空間について、独自の切り口で語る。「東洋経済オンライン」などで執筆中、文芸誌などにも多く寄稿をおこなう。著書に『ドンキにはなぜペンギンがいるのか』(集英社)『ブックオフから考える』(青弓社)
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