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日本人選手の通訳は「パシリ」。大谷と水原氏の関係、ギャンブル依存症につきまとう「嘘」

ギャンブル依存症を患っている人は「人を騙すのが天才的に上手い」

 さて、大谷――。  水原氏の一件について、大谷がつい最近まで「何も知らなかった」というのは本当だろう、と僕は思った。先述した知人を見る限り、ギャンブル依存症を患っている人は「人を騙すのが天才的に上手い」のだ。いや、最終的にバレてしまっては「上手い」とは言えないかもしれないが、あの手この手の口八丁手八丁で何とか取り繕い、必要なお金を工面する。ギャンブル依存症は人を詐欺師にする。  ギャンブル依存症はれっきとした「病気」であり、しかも数ある依存症の中で治療がもっとも困難とも言われる。しかし、パチスロ店が街中に溢れる「カジュアルなギャンブル大国」日本では、臭いものに蓋をするかの如く、依存症患者やその家族らの苦しみが放置されているようにも感じる。  たとえば、外国人向けのカジノが一大産業となっているシンガポールでは、自国民がカジノに出入りすることを厳しく制限している。自己破産者や生活保護受給者をはじめ、家族からの依頼があった者も入場できない。人口わずか約550万人でありながら世界屈指の国際競争力を誇るシンガポールは、自国民がギャンブルで身を滅ぼすことのないよう守っているのだ。  水原氏を巡る一連の騒動は、僕ら日本人が「ギャンブル依存症」という病気について学び、理解を深める良い機会になり得る。少なくとも大きな社会的影響力を持つマスメディアには、今回の一件を単なる「スター選手のゴシップ」として報じるのではなく、ギャンブル依存症を社会問題として取り上げる義務がある。  今回の騒動は大谷の「クリーン」なイメージに傷をつけたが、大谷でなければこれほど大きくは報じられなかっただろう。

「ロボット」呼ばわりされていた大谷

 これまで記者会見の場などであまり多くを語らない大谷は、アメリカの記者から「ロボット」呼ばわりされることもあった。今回の一件は、大谷が「ロボット」ではなく、自分の言葉を持ってファンやメディアと対話することができると示す良い機会かもしれない。  大谷は3月26日に記者会見を開き、渦中の騒動について11分に及ぶ声明を発表したものの、記者からの質問を受け付けなかった。まだ安易にコメントできる状況ではないからだろうが、大谷からの一方的な声明に対しては、コミュニケーションの透明性と双方向性を重視するアメリカのメディアから批判の声も上がった。
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「アメリカでも尊敬される社会のロールモデル」になってほしい
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(うちの むねはる)ライター/1986年生まれ、東京都出身。国際基督教大学教養学部を卒業後、コンサルティング会社勤務を経て、フリーランスライターとして活動。「日刊SPA!」『月刊スラッガー』「MLB.JP(メジャーリーグ公式サイト日本語版)」など各種媒体に、MLBの取材記事などを寄稿。その後、「スポーティングニュース」日本語版の副編集長、時事通信社マレーシア支局の経済記者などを経て、現在はニールセン・スポーツ・ジャパンにてスポーツ・スポンサーシップの調査や効果測定に携わる、ライターと会社員の「二刀流」。著書『大谷翔平の社会学』(扶桑社新書)

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