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鳥貴族“全品370円均一”に値上げでも「原価率30%を守る」攻めの接客マニュアルとは

来店促進する「アプリ」の仕掛け

 鳥貴族は新規顧客開拓と既存顧客の来店促進の目的のため、2023年にはアプリを開発し、1年で60万DL突破するなどの販促活動も強化している。これらは、新規客を増やし、その客を常連化・固定化するなど、顧客を囲い込みロイヤルユーザー化(店舗への忠誠度が高い顧客の組織化)してもらうための段階的な仕掛けが講じられている。  アプリをインストールした顧客にリピーターになってもらう仕掛けも巧みで、キャラクターのトリッキーを育てるコンテンツや店舗でアプリを提示して食べた串の本数を記録し、貯めると特典がもらえるなどで来店動機を高めている。トリキポイントをためて回せるガチャでも「串」がゲットできるなど特典も充実し、顧客囲い込みには力を入れている。顧客との中長期的な関係性を構築するロイヤルティープログラムが効果的に設計されているようだ。  通常、新規顧客を開拓するのは、既存の顧客の来店を促進するよりも5倍のコストがかかると言われる。来店された顧客を常連化・固定化させて客数を確保するのは、新規に客を呼び込むコストを考えたら少額の費用で済むものである。それだけに顧客のロイヤリティを高めることが収益力を強化する上で必須だということである。

全品280円均一という衝撃

鳥貴族

現在は370円均一になった鳥貴族のメニュー

 鳥貴族は、1985年創業し、大阪府東大阪市に1号店を出店。大阪市に本社を置き、大阪・東京・愛知県を中心に居酒屋「鳥貴族」をはじめ、「TORIKI BURGER」「やきとり大吉」を展開している。  焼鳥をメインとする居酒屋系焼鳥屋「鳥貴族」が中核ブランドであり、1都2府16県に店舗を展開しており、客単価は約2300円、直近では利用者の約75%が20〜30代である。完全子会社であるやきとり大吉を含めると、1123店舗を有する日本最大の焼鳥グループである。  トータルでは、1134店舗 =「鳥貴族」 626店舗 +「やきとり大吉」497店舗 +「TORIKIBURGER」2店舗 +「その他」9店舗 (2023年7月末現在)である。  東大阪に1号店を出店し、今年で39年を迎える鳥貴族。余談だが、昔、筆者も鳥貴族1号店の近くで焼肉店を経営していた時、鳥貴族の280円均一を参考に、牛貴族380円均一の業態を開発しようかと笑い話をしていた記憶がある。それだけ鳥貴族の全品280円均一の発想には同じ外食業界の人間として衝撃を受けたものである
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コロナ以降も業績好調だが変化も
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飲食店支援専門の中小企業診断士・行政書士。自らも調理師免許を有し、過去には飲食店を経営。現在は中村コンサルタント事務所代表として後継者問題など、事業承継対策にも力を入れている。X(旧ツイッター):@kaisyasindan
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