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鳥貴族“全品370円均一”に値上げでも「原価率30%を守る」攻めの接客マニュアルとは

長期ビジョンを実現する今後の展開は?

 やきとり大吉の完全子会社化で店舗数が一挙に増加したエターナルホスピタリティグループ(元・鳥貴族ホールディング)だが、長期ビジョンを実現するための今後の展開が注目される。やきとり大吉とは同じ焼鳥だから、食材仕入れのスケールメリットがあるのは当然で、それだけではなく色々なシナジー効果を期待したいものだ。  店舗としての魅力を高めながら、効果的な出店戦略を計画し、国内では市場深耕、海外では新規開拓などの店舗展開力が求められる。鳥貴族は4割近いフランチャイズ店を活用し、本部の投資額と固定費を抑えながら、目標の2030年までに国内1000店舗達成を目指しながら、効果的な出店戦略を策定するだろう。  この出店戦略は極めて重要で、飲食店は立地産業でもあり、出店場所の良し悪しが栄枯盛衰の分岐点とも言われている。しかし、この出店場所の選定は難しいもので、市場調査(静態人口・動態人口、需要と競争の実態など)を徹底的に行い、業態との適合性も考慮して決定しなければならない。ちなみに鳥貴族もコバンザメ戦略(誰もが知る有名な店舗や商業・観光施設などの近くに出店し、入りきれない客のおこぼれをもらうという戦略)で、ワタミの近くに出店していたことは有名な話だ。 

14人のオーナーが246店舗を経営

鳥貴族

2024年2月よりスタートした「鳥貴ドッグ」

 鳥貴族は現在、約4割がフランチャイズだが、新規の加盟を受け付けておらず、既存の少数のオーナーのみで運営をしており、新たな加盟店のオーナーについては、鳥貴族で働いている社員や元社員だけに限定している。  実際、公式サイトによると、鳥貴族のフランチャイズ展開は2019年の時点で14人のオーナーが246店舗を経営しているが、14人のオーナーのうち8人は元従業員だ。長年働いていた人たちが、オーナーの側に立って鳥貴族を支えているのだ。  筆者もフランチャイズ本部のSV(スーパーバイザー、経営指導員)をしていた経験がある。フランチャイズは経営理念共同体として、本部と加盟店が協力しながら、お互いが成長発展するものである。  本部は他人資源を活用しながら多店舗展開を実現し、加盟店は本部のブランドや経営ノウハウなどを活用し、素人でも早期に事業を軌道に乗せられるなど、双方にメリットがあるから成立するものである。
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他とは一線を画したフランチャイズ運営
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飲食店支援専門の中小企業診断士・行政書士。自らも調理師免許を有し、過去には飲食店を経営。現在は中村コンサルタント事務所代表として後継者問題など、事業承継対策にも力を入れている。X(旧ツイッター):@kaisyasindan
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