ニュース

石丸伸二氏はなぜ蓮舫氏に勝ったのか?都知事選で激的に変わった“戦い方”

蓮舫の言葉はなぜ響かなかった?

一方、蓮舫について言えば、「小池に敗れた」と言うより「石丸に敗れた」と言う方がしっくりくる。小池都政の問題点を指摘する演説も熱量では負けていなかったが、「神宮外苑の伐採」と言ってもしょせん自分の庭じゃないからなあ。なかなか自分ごとに感じられない。 その点、2年前の東京・杉並区長選挙は違う。『映画 〇月〇日、区長になる女。』で描かれたように、住民に立ち退きを求めてまで道路建設を進めようとする当時の区長に人々が怒った。それが「自分たちの代表を区長に」という“夢”を巻き起こし、押し立てられた岸本聡子が現職を僅差で破り初当選した。世の中を変えたい、変わりたいと願う人がじわじわ増えているように感じられる。そういう人々の思いを都知事選で汲み取ったのが、蓮舫ではなく石丸だったということだろう。 ただし、蓮舫が出たからこそ都知事選は盛り上がったと言える。敗戦の弁を語る時、左手首に見えたバングルという腕輪のアクセサリーは、台湾の人がよく身に着けているものだろう。多様性を象徴する都知事の誕生も見てみたかった。
相澤氏と奥山氏

映画プロデューサー奥山和由氏(右)と筆者・相澤冬樹氏(撮影/坂本慎平)

選挙では「政策は二の次」という現実

選挙では実は政策は二の次でいいのだと思う。人々が求めるのは“夢”だ。今より暮らしがよくなる、いいことありそうだという夢。安倍政権が長続きしたのは「アベノミクス」という“夢”を有権者に見せることに成功したからだろう。夢がまっとうかどうかではなく、夢を見せられるかどうかが問われる。 ちなみに大阪維新の会は「大阪都構想」という“夢”を長年大阪の有権者に見せてきたが、近年「万博・カジノ」という“夢”が掛け声倒れの“夢物語”に終わりそうな雰囲気が漂う。大阪府民が夢から覚める時が近づいているのではないかと感じられる今日この頃だ。
次のページ
「無謀な賭けだね、これは」
1
2
3
4
おすすめ記事