ニュース

「店主の高齢化」で倒産・廃業が急増する昔ながらの飲食店。“深刻な人手不足”を打開する解決策は

M&Aの売り手、買い手の事情は?

M&A 売り側の理由として、  ①店主が高齢化する中、後継者が不在で店の存続が困難  ②多角経営で飲食店も経営していたが、本業に経営資源を集中し撤退するため  などの理由が多い。一方で買い手の事情として、定年退職者や若手開業希望者が存在感を増している。定年退職し、趣味だったグルメ歩きから習得した知見を、収益事業として展開するパターンと、若者が独自性あるお店(カフェなど)の開業するパターンが人気だ。  予算があまりなく、費用対効果の面から、居抜き物件や売り物件を安く活用する開業希望者も増えている。また、成長企業がより事業規模を拡大する為に飲食事業に参入するケースや、経営不振の企業が本業を補完する為に参入するケースも多い。

飲食店経営は簡単そうに見えるが継続させるのは難しい

 飲食店経営は簡単そうに見えるから、開業希望者が多いが、1年で3割、2年でその5割が廃業し、10年で1割しか残らないというのが現実だ。  倒産理由はもちろん運転資金がなくなることだ。だから、営業赤字が続いても資金的余裕がある店なら、営業を続けることができる。通常、飲食店を個人で開業する際、実績がなければ取引先に信用取引をしてもらえず、食材など購入時には先払いが必要だ。  それら仕入れたものを販売し売上にできたとしても、最近はキャッシュレス化が進展し、お客さんの現金払いが少なくなっているので、資金繰りが難しいこともある。  ディナー帯は単価が高いからクレジット払いが多い。売上入金が遅ければ、店が黒字でも倒産する恐れがある。したがって、回転差資金を考慮した資金繰りが必要だ。  また、当然ながら損益分岐点を把握し、収益管理の徹底が必要だ。固定費・目標利益・変動費用を把握し、それを達成する為にはいくらの客単価と客数が必要で、客数の来店頻度から何人の固定客が必要かといった顧客管理も重要だ。  しかし、料理は得意でもこういった管理が苦手なオーナーシェフなどがこのマネジメントができずよく失敗する。そのためにも初期コストを低減させ、運転資金に回すことは大切なのだ。低コストな開業を実現するため、出来上がっている店を買収する方が、コストもリスクも低い場合が多い。
次のページ
飲食店のM&A市場が活発化している
1
2
3
4
飲食店支援専門の中小企業診断士・行政書士。自らも調理師免許を有し、過去には飲食店を経営。現在は中村コンサルタント事務所代表として後継者問題など、事業承継対策にも力を入れている。X(旧ツイッター):@kaisyasindan
記事一覧へ
おすすめ記事