「店主の高齢化」で倒産・廃業が急増する昔ながらの飲食店。“深刻な人手不足”を打開する解決策は
M&Aのメリットとデメリット
売り手は今まで雇用してきた従業員の雇用も継続してもらえる、引き渡し直前まで営業ができる、というメリットもある。 中小事業者が一番気にかけるのは、共に働いてくれた従業員とその家族のことを気にするものだ。売却できたから自分だけがラッキーという問題ではない。 賃借物件の場合、次に入る賃借人まで自ら紹介するのだから差し入れ保証金も、そのまま返してもらえるケースもある。賃借物件の貸主としても、空室期間がなく賃料収入が途切れないことが最大のメリットだ。 ただ、M&Aで入手した物件は中古が多いから、買い手も品質保証にも限度があることを理解することが必要だ。筆者が経験したケースでは、譲渡され半年後に冷蔵庫とエアコンが故障し修理不能だったケースもあった。 それからは、基本合意契約後の資産調査を実施しする際、厨房機器メーカーにチェックしてもらうようにしている。基本合意契約は法的拘束力がないから、調査などで問題があればやめといた方がいいケースも多い。飲食店の開業希望者はM&Aも視野に入れるべし
経済社会の成熟化に伴い、消費者のニーズは多様化・個性化・高度化・複雑化している。また、飲食店に対して消費者は、品質に対する厳しい目を持ち飽きやすく惚れやすいといった移り気の早い特性があり、業態の陳腐化サイクルが早い。 飲食店を開業したい方は、資金的に余裕があれば別だが、初期コストとランニングコストの抑制を考えるため、店舗買収ということも考えてはいかがだろうか。 筆者は、現在、飲食店を買いたいという、ある外国人社長のアドバイザーをしている。日本で飲食店をやりたいという外国人社長が増える中、手っ取り早く買収したいとM&A案件を探索しており、高条件の物件は奪い合いの様相を呈している。 日本の開業希望者も負けておられないのではなかろうか。飲食店支援専門の中小企業診断士・行政書士。自らも調理師免許を有し、過去には飲食店を経営。現在は中村コンサルタント事務所代表として後継者問題など、事業承継対策にも力を入れている。X(旧ツイッター):@kaisyasindan
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