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「店主の高齢化」で倒産・廃業が急増する昔ながらの飲食店。“深刻な人手不足”を打開する解決策は

飲食店のM&A市場が活発化している

飲食店 先述の通り、一から店をつくる時間やコストを考えたら、M&Aの方が早く開業できる。一般的に新規開業する際、いくら精度の高い売上予測をしても、店は開けてみないとわからないものだ。業態と地域ニーズの不合致性は話にならないが、よく起きるミスでもある。  その点、既に実績がある店を購入できたら楽だ。  以前は、賃借物件で飲食店を経営する店主は、経営不振で店を閉めたいが、賃借契約の条件の中に原状回復返還義務があり、スケルトンにする費用がないために、赤字なのに閉められなかった例が多い。  今は多くの売り物件や購入希望者を紹介する飲食店専用のM&Aサイトが多数ある。昔と違い、ネックだった高額の手数料も安くなっており、M&A市場はますます進化している。  もちろん、売り手から中古品を買い受けるのだからそれ相当のリスクはある。でも、こういった市場や仕組みがあることで容易に撤退と参入できることになり、飲食店市場は活性化される。  開業したい人でやる気はあるがお金がない人にはチャンスである。そういう人達のマッチングの機会にもなっているのは社会経済資源の有効活用策としてもいいことだ。

店を買収する際には注意点も

 店を賃借で経営している場合、売り手はスケルトン返しの場合が多く、撤収費用(解体工事)が必要のため、それが省けるのなら、無償で譲渡してもいいというケースは少なくない。  筆者も、業績悪化と体調不良で店を撤退したいが、スケルトン費用がないため困っていた店をほぼ無償で引き継いだ経験がある。  5年で店を利益が出る店に磨き上げ、顧客基盤も盤石化させ、大手外食企業に売却した。店を買収する際、造作物そのものが譲渡対象の中心となる。  しかし、売り手の中には、高額の譲渡金額を提示する人もいるので要注意だ。比較的、新しい造作物や厨房機器などは「高額で買い取って欲しい」と当然のように言ってくるケースが多い。  そこで売り手と買い手が協議し、内装、厨房設備、什器備品などの売買交渉をして妥協点を見い出し「造作物譲渡契約」にて締結する。その際、売り手と買い手の交渉力にもなるが、買い手の買いたいという意欲が強ければ、価額が上がるのは当然。  だが、売手は造作物だけでなく営業権もその中に組み入れ強気で交渉してくるものだ。例えば「譲渡しますが、せめて3年分の営業利益も譲渡金額に含めて下さい」と年買法で価値算定し、営業権の対価を加えるのである。  これが、3年~5年に間のどこに決まるかは、買い手の価値判断である。その店の将来価値があると認めれば、高く評価し、高い価額になるだろう。
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M&Aのメリットとデメリット
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飲食店支援専門の中小企業診断士・行政書士。自らも調理師免許を有し、過去には飲食店を経営。現在は中村コンサルタント事務所代表として後継者問題など、事業承継対策にも力を入れている。X(旧ツイッター):@kaisyasindan
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