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ラブホに入っても「その気はなかった」。それでも“性的同意は難しくない”女医が断言するワケ――ニュース傑作選

「ちゃぶ台返しもアリ」の時代

富永:性的同意についてわかりやすく説明しているのが、セックスを「紅茶」にたとえた「Tea Consent」という動画です。この動画は、2015年にイギリスのテムズバレー警察署が「Consent is Everything(同意こそすべて)」と題したキャンペーンの一環として、制作・公開したものです。これが世界中で話題となり、さまざまな言語に翻訳されて、1億5000万回以上も視聴されています。 「あなたが紅茶を淹れたからといって、相手に飲む義務はないし、飲むかどうかは相手が決めること」 「もし飲まなかったとしても、無理に飲ませてはいけない」 「飲まなくても、腹を立ててはいけない」 「最初は欲しいと言っていても、気持ちが変わって飲まないかもしれない」 「意識のない相手に無理に紅茶を飲ませてはいけない」  この動画では、このようにわかりやすく「同意」の概念が解説されています。わずか3分足らずの動画で、YouTubeに日本語版も公開されているので、まだご覧になったことのない方は、ぜひ一度見てみてください。  この動画で一貫して語られているのは、「紅茶を飲むかどうかを決めるのは、あくまでも相手」ということです。基準は常に相手であり、あなたではありません。もしあなたが誘ったとき、相手から「いまは飲みたくない」と断られたとしても、その人に怒ってはいけません。  たとえば、こんな場合はどうでしょう?  相手が「ありがとう、いただくわ」と言ったので、あなたは砂糖やミルクを用意して、あたたかい紅茶をふるまいます。でも、急に気が変わって、相手は「やっぱりいらない」と紅茶に手をつけません。「せっかく用意したのに」とがっかりしそうなところですが、基準は常に相手とするならば、「そのとき飲みたくないのであれば、その意思を尊重すべき」となります。いわゆる〝ちゃぶ台返し〞とも言える状況も、性的同意の概念においては、受け入れるのが当たり前なのです。  そんなバカな……と思われるかもしれませんが、相手基準ということは、裏を返せば、自分基準でもあります。もし自分が相手の立場になったとき、「自分が紅茶を飲むかどうかは、あくまで自分が決めること」なのです。特に性という繊細な世界において、勝手に相手にどんどん進められてしまっては、たまったものではありませんよね。

面倒くさがらずスムーズな同意を

――たしかに、自分の気が変わったときに、「わかっているだろう?」とお構いなしに迫られたら恐ろしいですね。特に男性は、逆の立場を想像することが必要かもしれません。 富永:ホテルに入ってもその気にならなければ、「今日はセックスしたくない」と相手に伝えるのは、至極まっとうな行為です。「お互い大人なんだから、こうなることぐらいわかっていたでしょ」と言ってセックスになだれ込もうとするのは、完全に「アウト」です。どれだけミルクや砂糖を用意していても――どれだけ食事をごちそうしたり、ホテル代を支払っていても、したくないものはしたくない。それは、なにがあろうと覆せるものではありません。ちなみに、金品や見返りをちらつかせて性的な行為を迫るのもNGです。  また、「相手がなにも言わないから同意していると思った」という話も耳にしますが、なによりもまず同意を得る責任は「誘う側にある」という点も、性的同意の大切なポイントです。勝手に紅茶を淹れて、なにも言わない相手の口に注ぎ込んだら、相手はどう思うでしょう? 必ず「紅茶飲む?」と聞き、「うん、飲みたい」という返事があって、ティータイムは成立するのです。  人の心は常に変わるもの。私たちはいま、「ちゃぶ台返し」もOKの時代に生きています。  ただし、それが窮屈かと言えば、そうでもありません。いち早くセックスの価値観をアップデートし、スムーズに同意を得られるようになれば、その人は異性からも魅力的に映るからです。「性的同意なんて面倒くさい」と変わろうとしない人がいる一方で、「きちんと思いやってくれているんだな」というマナーと気持ちが伝われば、相手も安心してお付き合いできるというものです。
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中高年男性がモテる理由の9割は「地位と権力と財力」
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痛みで苦しまない人生を医学で導く「痛み改善ドクター」。愛媛県松山市にて富永ペインクリニックを開院。代表を務める「まつやま健康寿命延伸コンソーシアム」は、経済産業省「平成26年度健康寿命延伸産業創出推進事業」に採択。性の悩み専門の性交痛外来を開設し、全国から1万人以上がオンライン診断を受ける。医療×ITで人生100年時代を豊かにするデジタルドクターである。たしかな腕とユニークなキャラクターが人気を呼び、NHK『おはよう日本』、TBS『中居正広の金曜日のスマたちへ』などのテレビ番組にも出演。著書累計98万部。YouTubeチャンネル『女医 富永喜代の人には言えない痛み相談室』は登録者27万人を数える。Facebookライブは年間1000万人以上にリーチし、日本最大級のオンラインセックスコミュニティ(会員数1.6万人)『富永喜代の秘密の部屋』を主宰

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