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ニッチな航路で採算取れる?関西拠点の「新たなエアライン」共同代表に聞く“勝算”

「チャーター便も視野に」就航計画

ジェイキャスエアウェイズ

パリエアショーでのATR72-600機(撮影:筆者)

 11月7日にはシンガポールのリース会社を通じたATRの機材発注は、意向表明書から正式発注契約に切り替え、2025年10月に受領することが決まった。 「当初は1機で1日4往復が可能で、半年後に2機目を導入します。資金力を増強し、路線を増やしながら機材の稼働率を上げるためにチャーター便も視野に入れています」(梅本さん) 「航空機はATR72-600、シートピッチ29インチで72席の標準座席数を選んでおり、仕様の変更が難しく、ハード面では差別化ができないことから、ソフト面での認知拡大や企業提携、就航地や空港でのお客様向けのイベントなどに力を入ていきます」(梅本さん)  販売チャンネルは、個人、法人、旅行代理店へとすることで全方位の顧客獲得を目指しているそうだ。

資金調達状況と拡大計画

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代表取締役の白根清司さん(ジェイキャス提供)

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代表取締役の梅本祐紀さん(ジェイキャス提供)

 現状で就航する鳥取県と隣県の島根県、また富山県での資金を含め、これまでに累計6.5億円の調達を達成しており、就航時には目標の約50億円になるよう計画的に進んでいる。今後は、金融機関やベンチャーキャピタルなどからの資金調達を予定しているという。 「今後5年で機材を7機、ネットワークを16路線に拡大予定しています。関西地域を中心に路線開拓を強化し、さらなる未来はATR機で国際線に挑戦し、余裕が出ればエアバスA220などを使用した国際線の就航も視野に入れています。ジェイキャスは、民間資本での地域航空としてフジドリームエアラインズ(FDA)を参考にしています」(白根さん) 「当初は、日本人の海外渡航(Outbound)で需要計画を立てており、外国人訪日旅行(Inbound)は考慮していない。天変地異など、事前に予期しない出来事によって、事業価値が大きく損なわれるイベントリスクへの配慮も為されているのだ。空港地上作業となるグランドハンドリングは、両空港で実績のある会社が視野に入る。また、必要な整備は日系他社との提携で実施します。大手系列ということではなく、自社に合う会社と提携していくつもりです」(白根さん)  運賃は国交省の試算で時間価値は1分60円と算出されており、これを考慮した上でJR+5000円程度で設定する予定だ。関西空港から北海道や沖縄さらには海外への乗り継ぎ需要も視野に入れる。ジェイキャスは、ビジネスと航空のプロが創立したエアラインだ。地域の創生に加え、関西市場を中心とした新たな航空体験の提供を目指している。1年と少し先に迫った2026年春の新しい翼の就航に期待したい。 <TEXT/北島幸司>
航空会社勤務歴を活かし、雑誌やWEBメディアで航空や旅に関する連載コラムを執筆する航空ジャーナリスト。YouTube チャンネル「そらオヤジ組」のほか、ブログ「Avian Wing」も更新中。大阪府出身で航空ジャーナリスト協会に所属する。Facebook avian.wing instagram@kitajimaavianwing
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