恋愛・結婚

“手取り19万円”から毎月養育費6万円を捻出「元妻が再婚して息子と会えなくなったのに払うのは…」46歳バツイチ男性の苦悩

勇気を振り絞り、元妻にLINEした結果…

健也さんが元妻に対して「息子を養子にしたら養育費の振込を終わりにしてくれ」と正々堂々、言い放つことができれば良いのですが、いかんせん、健也さんは養育費の滞納者という立場。ただでさえ喧嘩別れした元夫婦同士なので、どんな罵詈雑言をぶつけられるか分かりません。 しかし、何もしなければ何も始まらないので、健也さんは勇気を振り絞り、元妻のLINEにこう送ったのです。「再婚したみたいですね。唯人(息子さんの名前)の顔を見たのはもう2年以上も前です。このことをどう思っていますか?」と。そうすると元妻から返事が届きました。 「唯人は彼(再婚相手)のことを父親だと思っています。父親は一人で十分です。もう会わせるつもりはありません」ときっぱりと切り捨てたのです。息子さんは健也さんにとって唯一無二の我が子ですが、もう会うことが叶わなくなったのです。少なくとも成人し、彼自身で動けるようになるまでは。 そこで健也さんは「養子にしたら養育費を払わなくていいんですよね。それならそうしたいと思います」と覚悟を決めました。筆者は前もって「法律上、家族構成や経済状況の変化により養育費を見直すことは認められていますよ(民法880条)」と助言しておきました。そして元妻に対して切り出したのです。「実は戸籍を見ました。養子縁組しているんですよね。養育費の振込は今月で終了させてください」と。

「今までの分は耳を揃えて清算して」と…

しかし、元妻はすんなり「はい、そうですか」と認めませんでした。健也さんが2年間、養育費を滞納していることを突いてきたのです。「そういえば、養育費の振込がいつの間にか半分に減らされていました。私が知らないとでも思った?!」と。そして「来月から養育費をなしにするのはいいけど、今までの分は耳を揃えて清算してよね!」と反撃してきたのです。 確かに元妻の言う通り、養育費の免除は元妻が承諾したときから発生します。原則、過去に遡ることはできません。健也さんとしては毎月3万円を払うことは問題ないので、「3万を2年先まで払う。それでいいだろ?」と回答したところ、元妻は了承。こうして健也さんが養育費を払うのは残り2年、それ以降は支払から解放されることが決まったのです。 離婚時に支払を約束したお金のことを離婚債務といいます。具体的には養育費、慰謝料、解決金、そして元妻子が住む家の住宅ローンですが、離婚後、債務の負担が重すぎて身を亡ぼす人は珍しくありません。例えば、借金に借金を重ねて自転車操業に陥ったり、FXの信用取引で一攫千金を目論んで失敗したり、健也さんのように休日にアルバイトをして体調を崩すなどです。 離婚債務は何があろうと変更できないわけではなく、途中で見直せる場合もあります。どうしようもなく追い込まれる前に手を打った方が身のためです。 <TEXT/露木幸彦>
1980年生まれ。国学院大学卒。行政書士・FP。男の離婚に特化し開業。6年目で相談7千件、「離婚サポートnet」会員は6千人を突破。「ノンストップ」(フジテレビ)、「ホンマでっかTV」(フジテレビ)、「市民のミカタ」などに出演。著書は「男のための最強離婚術」(7刷)「男の離婚」(4刷)など11冊。X:@yukihiko55 ブログ:法律でメシを食う若造のブログ Facebook:yukihiko.tsuyuki
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