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有名詐欺事件“トケマッチ”被害者も…「詐欺被害者オフ会」に潜入したら地獄絵図だった

『賭博黙示録カイジ』のスピンオフ『中間管理録トネガワ』の作者であるハッシー橋本が、漫画で稼いだカネで“怪しい投資”に挑む実録マンガ。一般の人が手を出しにくい投資を攻略して“億り人”になることはできるのか——。 仮想通貨マンガ 仮想通貨マンガ 仮想通貨マンガ 仮想通貨マンガ

百九十三話 傷舐

 このあいだ「詐欺被害者オフ会」なるものに行ってきたんですよ。  なんかもう、名前からしてすでに不穏でしょ。「オフ会」って、普通は趣味の仲間が集まるとか、ファン同士で盛り上がるとか、そういう明るい響きがあるのに、詐欺の被害者だけを集めるって……。  で、これを企画したのが、仮想通貨で1,400万円ふっとばしたOさん。普通は泣き寝入りしてひっそり暮らすと思うんだけど、Oさんは逆に「みんなで傷をなめ合おう!」みたいなノリでオフ会を立ち上げちゃったんです。  いや、強いな。失った金額が金額だから、逆に笑い飛ばさないとやってられないのかもしれないけど……。  それで会場に行ってみたら、スーツ姿のいかにも“太い”社長さんっぽい人ばかり。高級そうな腕時計とか、靴がピカピカで、なんならネクタイの色まで金持ち仕様。こっちは「詐欺られたから節約しなきゃ」ってスーパーで半額シールに飛びついてるのに、あの人たちの“被害者スタイル”はちょっと豪華すぎやしませんか。

トケマッチ被害者との出会い

 で、そこで繰り広げられてた会話が、まぁ書けない書けない。とてもじゃないけどマンガに描けるような話ではなく、聞いてるこっちは「マジですか!」って心の中で小声をあげっぱなし。  そんな中でも唯一、世間的にオープンに話せるネタが「トケマッチ」。これはニュースでも取り上げられてたし、固有名詞を出しても大丈夫。  トケマッチの被害者さんが切々と体験談を話してくれて、それを聞いた私は、なにかフォローしなきゃと焦って「やっぱりトレンドに乗ることって大事ですもんね!」なんて意味不明なコメントをしてしまった。今考えると完全に的外れ。あの場でフォロー役として私に期待していた人がいたなら、ほんとごめんなさいとしか言えない。

傷の舐め合いも必要なこと

 それにしても、あのオフ会だけで7人も豪快な被害者が集まってたのに、Oさん曰く「まだまだ参加したい人がいます」だそうで……。いやいや、どんだけいるんですか、詐欺被害者。  でもね、よく考えると「詐欺」って派手な事件だけじゃなくて、ちっちゃいのも入れたら、たぶん大人なら誰でも一回はやられてるんじゃないかなと思うんです。「スーパーのタイムセールで“本日限り”って書いてあるのに、明日も同じ値段だった」とか……。  詐欺って、要は人の“スケベ心”とか“隙”につけこむんですよね。そして一度ひっかかると「なんで気づかなかったんだろう」って自分を責める。だから余計にしんどい。  私もね、ここでエラそうに書いてますけど、大なり小なりやられてますよ。でもまぁ、そんな経験をこうしてネタにして笑えるってことは、まだ私は生きてるし、なんとかやれてる証拠かな、とも思うんです。  だからあの日のオフ会は、なんだかんだ言ってちょっと救われた気がしました。「被害者は自分だけじゃない」って確認できると、ちょっと心が軽くなるものですね……。 漫画・文/ハッシー橋本
愛知県出身の漫画家。パチンコ・パチスロ漫画を中心に活躍し、‘15年より月刊ヤングマガジンで連載を始めた『賭博黙示録カイジ』のスピンオフ『中間管理録トネガワ』が大ヒット。サウナとビールの愉悦を描いた『極上!サウナめし』はサウナ好き必見の一冊 X(旧Twitter)@hashimotosan84
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