「マルチ商法に騙された青年」が登録者97万人の“詐欺撲滅・突撃系YouTuber”に。「580回突撃しました」
2020年に立ち上げ、現在は登録者数97万人超えをする人気YouTubeチャンネル『新宿109』。
当初はさまざまな企画を試行錯誤するも、自身が遭遇したマルチ商法の被害経験を活かしてマルチ商法組織や詐欺師に突撃して糾弾するチャンネルに方向転換したところ、チャンネル登録者数が急増。同ジャンルのYouTubeの中でもダントツの知名度と視聴再生数を誇る。
そんなチャンネルを運営するKENZOが、詐欺を撲滅する突撃系YouTubeを始めたきっかけ、悪質な詐欺師に拉致された驚愕の過去、今後の目標までを余すところなく語ってくれた。
――幼少期はどんな子供だったのでしょうか?
KENZO(以下、KENZO):シングルマザーだった母親と姉と暮らしながら、県内の借家や団地を転々として暮らしていました。
当時住んでいた団地の治安がよくなかったせいもあって、悪い先輩とつるんでは夜中まで遊んだり、万引きをしたりっていうヤンチャな生活が続いていて、最終的には不登校になりました。
母親がうつ病で生活保護を受けている家庭だったので、生活に不満を抱いていたことも非行に走った理由だったかもしれません。
そんな状況を見かねた母親が僕を10歳から児童養護施設に入れて、僕は高校3年までそこで育ててもらいました。
――児童保護施設ではどんな生活を?
KENZO:6時30分起床で18時に門限、就寝は21時。規則正しい生活を義務付けられていました。辛かったですけど僕自身も「変わりたい」と思っていたので、苦ではなかったです。
施設で生活していくうちに、団地で暮らしていたときより性格も丸くなっていきましたね。周りは中学校を卒業して就職する同級生も多かったのですが、僕は高校をちゃんと卒業して短大に進みました。
――更生して短大卒業間近になったころ、マルチ商法の被害に遭ったそうですね。
KENZO:短大2年生のときにチェーンのピザ屋でアルバイトをしていたんですが、悪気なく店内を撮影した動画をインスタグラムのストーリーに載せ、出勤停止処分を食らってしまったんです。
ただ、卒業まであと3カ月ほどだったので雇ってくれるバイト先が決まらず焦っていて、図書館で投資の本を読み漁るようになりました。
――投資に興味があったのですか?
KENZO:当時、ネットやSNSで投資やFXにまつわる広告や記事をよく見ていたからですね。やはり昔から裕福な家庭ではなかったことがコンプレックスだったので、若くして金持ちになっている人に憧れがあって……。
――その流れでマルチ商法の勧誘を受けることに?
KENZO:高校時代に同じ野球部だった友人に「稼いでいる知り合いがいるから紹介したい」と言われ、会いに行ったんです。
そしたら当日に友人が来なくて、知り合いのタカハシという若い男性と対面で話すことになり、ハワイの不動産を共同購入して家賃収入で利益を得るビジネスを紹介されました。
そういった勧誘を受けたことがなかったし友人の紹介だということもあって、タカハシの「今やらなかったらもったいない」という熱い言葉に乗せられて、その日にバイトで貯めていた60万円を払ってしまって……。
今思えば、典型的なマルチ商法のやり口で、マニュアル通りのセールストークや即決を促す手口でした。あのときの自分は本当に無知でした。
――たびたび『新宿109』の突撃動画でも見る光景ですよね。お金は戻ってきたんですか?
KENZO:地元の先輩に相談したときにようやく詐欺だと気づいて、解約手続きをして40万だけ戻ってきましたが、残りの20万円はよく分からない手数料という名目で持っていかれました。
――お金を取り戻そう、仕返しをしようとは考えなかった?
KENZO:引っかかった詐欺のグループラインがあったので、まだ信者ではなさそうな人に「詐欺なんで辞めたほうがいいですよ」と送ったんですけど、バレてしまってグループを退会させられました。当時はこれ以上関わってもしょうがないなと思い、勉強代だと割り切って泣き寝入りしました。

KENZO
ヤンチャをして10歳から児童保護施設で生活
友人に誘われて“典型的なマルチ商法”に騙された

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