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効率は原発の約2倍! コンバインドサイクル発電

― 企業の自家発電能力だけで原発60基分!! 【1】 ― 原発の約2倍の熱効率を達成する天然ガス、太陽光発電etc.はスゴイ実力。 しかも電気代も安い!! 電力不足が騒がれる昨今、注目を集めているのが、液化天然ガス利用のコンバインド・サイクル方式発電。そのほか、現在日本に存在するエネルギーをかき集めたら、いったいどのくらいあるのか?を検証。 【天然ガス】 ◆効率は原発の約2倍! コンバインドサイクル発電世界のエネルギーの趨勢は原子力からガスに移行するということが既に常識になりつつあります。天然ガスはCOなどの排出量が少ないクリーンなエネルギーです。それを燃料とする効率のよいガスタービン・コンバインドサイクル(GTCC)発電に火力の3割を切り替えれば原発なんて必要ないのです。タービンはジェット機のエンジンと同じようなもので、ものすごい出力があります。原発やほかの火力よりもずっと効率がいい」 コンバインドサイクル発電  原発推進に警鐘を鳴らし続けてきたジャーナリストの広瀬隆氏はこう断言する。その発電設備を持つ電力会社に聞いた。 「従来型の汽力発電方式では、ボイラーの蒸気で発電していました。GTCCはそれにガスタービンを組み合わせたもの。まず燃焼ガスでガスタービンを回し、次にその排熱を利用して蒸気タービンも回すのです」(関西電力・地域共生広報室)  発生した熱をなるべく逃がさずに利用する、いわば「一粒で二度おいしい」優等生である。関西電力・堺港発電所では三菱重工業製の世界最高水準の高効率を誇る最新鋭機が09年から運転開始し、現在5台で200万キロワットの出力で原発2基分に相当する電力を生み出す。「堺港発電所は旧設備比で二酸化炭素を30%削減でき、熱効率は41%から58%にアップしました」(関西電力)。  原子力発電の熱効率は30%程度なので、いかにこの方式が効率よいかがわかるだろう。関電では2015年までに順次、火力の部分をGTCC発電に転換していき、636万キロワットまで高める計画だという。 ガスコンバインド ◆原発よりも扱いやすく無人運転も可能 メーカー側も同方式の販売に意欲を見せる。米ゼネラル・エレクトリックのジェフリー・イメルト会長兼最高経営責任者(CEO)は4月4日来日の際、東京電力に火力発電用ガスタービンを供給するかたちでの支援を約束している。同社と提携し、三菱重工と世界市場で争う日立製作所広報・IR部の泉澤雄一氏は今後の営業方針をこう語る。
原発

日立製ヘビーデューティー型2軸構造ガスタービンH-80。同型としては世界最大の8万キロワット。九州電力・新大分発電所に搭載。

当社のガスタービンは排熱の温度が高く、メンテナンス頻度が少ないことが特徴。国内で原発の新規建設の遅れが予想されることから、GTCC発電所の需要は高まるとみています」  前出の広瀬氏は、この日立製のGTCCが設置されている九州電力・新大分発電所を見学して感嘆したという。 「11万~24万キロワットの中型発電機13基で、総能力230万キロワットという巨大原発2基級の発電能力を持っている。熱効率は49%を達成し、必要な電力量に応じて調整ができる。起動後、最大出力になるまでに約1時間と機動性に優れ、原発よりも扱いやすい」  さらに驚くべきことに、この発電所はGTCCの設備構成がシンプルで、起動停止及び監視が比較的容易であることから「中央制御室無人化運用」(但し夜間宿直は2人)という全自動運転を行っているのだという。被曝労働者を生み出す原発と比べればその優位性が際立つ。ちなみに工期も、原発の7年に対してGTCCは2~3年程度だという。 広瀬 隆氏 【広瀬隆 氏】 43年生まれ。早大卒業後、大手メーカーの技術者を経て執筆活動に入る。80年代から多くの著書で原子力の危険性を訴え続ける。著書に『FUKUSHIMA福島原発メルトダウン』(朝日新書)など
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