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あの“駅メロ”を作曲した巨匠の素顔とは?

◆首都圏に住む人間なら誰もが聴いたことのあるメロディ

クイズ:「JR-SH-1」とは、いったい何の記号でしょう?

……すぐにピンときたアナタは、間違いなく“鉄分”が高い! 「JR」は言わずもがなだが、「SH」のほうは、おそらく日本で、いや、世界で最も作品を聴かれている音楽家の名前の略である。そう、駅メロディ、通称“駅メロ”界の巨匠・塩塚博(SHIOZUKA  HIROSHI)さんの頭文字の「SH」なのだ。

 そのメロディがシリーズ化され、首都圏を中心としたJR駅で発車メロディとして流れており、鉄ちゃんたちの間では「もはや常識」というくらいポピュラーな音楽だ。ちなみに一番たくさん採用されているSHシリーズ曲は実は「SH-2」。使われている駅は、なんと全国で70駅以上! 東京、有楽町、浅草橋、五反田などでも流れているので「この曲を聴くと『東京に来た』と実感する」という地方在住の方も多いのではないだろうか。

 2011年1月には初のソロアルバム『テツノポップ~史上最強駅メロ伝説「SH」スペシャル・コレクション~』(ユニバーサルミュージック)が発売され、鉄道ファンはもちろん、鉄道ファン以外の男女の心をおおいに揺さぶっている。記者も、鉄道に関してはマニアでもなんでもないイチ乗客なのだが、聴いているとなぜか気分がおおいにアガるのだ! なぜなら、「この曲、聴いたことある!!」曲ばかりだから。電車を乗らぬ日はない生活ゆえ、どこかの駅で聴いた記憶が呼び覚まされ、不思議とワクワクしてくる。

 たいていホームで電車を待っている間は携帯をいじっていたりボケッとしているのだが、あらためてCDで発車メロディを聴くと、「万民に受け入れられるメロディの持つパワー」をしみじみ感じる。その音の持つパワーで、自然と元気が出てくるのかもしれない。なんと、このたび、塩塚さんにお話を聴かせて頂く機会があった。『テツノポップ』でアガったテンションで質問をぶつけてみた。

――いろんな駅で自分の楽曲が使われているってどんな気持ちですか? 

ご自宅の作曲ルームにて。使用するパソコンは3台。ここからあの名曲が生まれた

塩塚「JRに関しては、駅長が自分の権限で選ぶんです。こちらは複数メロディを作って提案させてもらい、その中から選んでもらうという感じ。納品してから半年ほどは採用がなくて、ちょっとクサッていたのですが、突然ドッと採用駅が増えて、嬉しかったですね」

――「SHシリーズ」の中で「SH‐2」の次に採用駅数が多いのは「SH-1」(東京、御茶ノ水、信濃町、国分寺など約60駅で流れている)なのだとか。かなりおなじみの曲ですが、どんなイメージで作られたのですか?

塩塚「これはタイトルが『華憐』といいます。華麗と可憐をかけあわせた造語で、輝きや宝石をイメージし、華のある楽曲に仕上げました。アルバムにはロングバージョンも入っていますよ」

――ご自分が最も気に入っているメロディは?

塩塚「自分では『SH-6』を携帯の着信音に使っていますね。ちょっとロックっぽいでしょ?」

「SH-6」とは、御茶ノ水駅の3番線などで使われているメロディである。もう、DNAに染み込んでいるのでは? というくらい「聴いたことある、ある!」と全身の細胞が叫んでいるような。首都圏に暮らす人々にとって、それくらいポピュラーな曲である。

 短いメロディは携帯の着メロとしても大人気で、浜崎あゆみなどトップアーティストに匹敵(!?)するDL数なのだとか。恐るべし、駅メロ。

⇒ インタビューの続きは後編で
塩塚さんの音楽家人生を支え続けてきたセルフプロデュース力


塩塚博
作編曲家、ギタリスト。1985年度リットー社「オリジナルテープコンテスト」B部門優勝を機に脱サラ。87年作曲家・演奏家として独立。以来、レコード曲提供(郷ひろみ、稲垣潤一ほか)やTV・ラジオ番組、CMなどの作曲制作で活躍。JR東日本の駅メロ(JR-SHシリーズ)は94年から今もなお使われ続ける代表作。他に、京急、東京メトロなどの駅メロを多数制作。BGMを手掛けた『今、よみがえる 三陸鉄道 車内放送アナウンス ~南リアス線~』が絶賛発売中。
所属会社「スイッチ」HP http://www.switching.co.jp/
公式ブログ「鉄のみゅーじしゃん」 http://pub.ne.jp/shioshio/

取材・文/ならこ

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