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入荷20年待ち!? “奇跡のリンゴ”のカクテルが飲めるお店

奇跡のリンゴ

木村さんのリンゴの出荷風景(撮影/望月孝)

 映画『奇跡のリンゴ』が大ヒット中で、なんと累計動員が68万人を超えたという。2006年のNHK『プロフェッショナルの流儀』でブレイク以降、破竹の勢いを見せているリンゴ農家、木村秋則氏。今や木村さんのリンゴは4年待ちとも20年待ちとも言われている。  4年ならまだしも、20年も待っていたら、そのとき自分が生きているかどうかの保証もない(笑)。だが、食べたくないか? 木村さんのリンゴ。  木村さんの新刊『ソウルメイト』で「魂レベルの親友」として紹介され、『奇跡のりんごスープ物語』の著書もあるシェフ・山﨑隆氏によるスペシャリテ「木村秋則さんの自然農法栽培りんごの冷製スープ」で味わうことは可能だ。山﨑シェフのお店「レストラン山崎」のランチとディナーで供される「奇跡のりんごフルコース」では、「長谷川自然牧場産熟成豚肉のソーセージとりんごのピクルス」「本日の鮮魚あぶり焼きとりんごのサラダ」など、木村さんのりんごを使ったフレンチが味わえる。木村さんのリンゴがシーズン最後まで味わえる希少なお店だ(次のシーズンは9月末~)。  だがいかんせん、青森県弘前市に行かねば食べられない。弘前まで行けない場合はどうしたらよいのか。そこで、記者は都内で奇跡のリンゴを味わえる場所を発見した。  恵比寿と銀座に店舗を構える「ODIN」だ。オーナーの菊地貴彦氏が現地で買い付けたシングルモルトなど1000本以上のお酒が揃う、通も唸るオーセンティックバーとレストランバーだ。  ブレイク前から生産者としての木村さんに注目し、12年前からお付き合いが始まったという。木村さんのリンゴを取り扱っているのはバーテンダーでは菊地さんが初めて。  リンゴのシーズンは秋。今は一年でもっともリンゴが手に入らない時期だ。 「奇跡のリンゴを食べさせてくれ」と頼むものの、あえなくNG。  がっくり肩を落とす記者に「奇跡のリンゴのジュースを使ったカクテルならばできますよ」と菊地さん。さっそくその“奇跡のリンゴの特製カクテル”を作っていただいた。 「木村さんのリンゴジュースをウォッカベースでカクテルにしました。ウォッカだと、リンゴの味がわかりやすいんですね」
奇跡のリンゴ

これが奇跡のリンゴの特製カクテル

 表面にはうっすらと泡が。シェイクしたときにできた泡だという。グラスに口をつけると、その泡がふんわりと優しく唇を包み込む。どこまでもスッキリとした甘味と爽やかな果実味。そこにクセのないウォッカが溶け込み、心地よい余韻が残る。  映画で木村さんの妻役を好演した菅野美穂のような“大人女子”も大満足のカクテルだ。 「ちなみに、使っているウォッカもオーガニックのものです」  ウォッカの味の違いもわからぬ記者は、菊地さんの矜持に感動を覚えた。木村さんはよく自分のことを「バカ」といい、「バカになることの大事さ」を話しているが、菊地さんは間違いなく「バカ」だ。お酒に関することならどんな苦労も厭わない。 「このお店でしか味わえないお酒」のためには原価など度外視で、食材に対するこだわりがハンパない。2店舗のまかないメシは、なんと木村式自然栽培で作られたお米を使っているという。 「正直、経営には響きますが、農薬まみれのフルーツを使いたくない。そういったものを使うと原価はおそろしく下がりますが、それよりも大事なものがあるんですね。私は、顔の見える生産者の安心できるフルーツしか使いたくないんです」  リンゴ以外でも、有機栽培や低農薬、無農薬、自然栽培、緑健農法などのフルーツのみを使用しているという。  たとえば定番カクテルのジンフィズは母島(小笠原諸島)の折田農園(9月~12月限定)が生産している無農薬の島レモンを使用。カクテルにおいて皮も大きなファクターを占めるレモンが無農薬だというのは、非常に安心感がある。  また、モスコミュールには有機栽培の生姜の絞り汁と自家製ジンジャービアーを使い、ブラッディ・マリーには静岡県掛川市の石山農園が永田農法で生産しているトマトを使っている。 しかも菊地さんは、トマトの出来に納得いかないと返品(生鮮食品なのに……)することもあるツワモノだ。  パイナップルは鹿児島県南さつま市の秀美園、梨は千葉県市川市の角右衛門梨園などと、なるほど生産者の顔が浮かんできそうだ。 「生産者に会いに、農園に行くこともしょっちゅうです。一昨年は、木村さんのりんご畑に見学に行きました」  それぞれのカクテルにこめられたストーリーを聞きながら彼女と味わうも一献。菊地さんのお店は硬派な酒好きの男にも、オーガニック大好き女子にもウケるお店だということがわかった。  奇跡のリンゴのカクテルを飲んでほろ酔いの記者に、菊地さんが一言。 「木村さんのリンゴのカクテルを読者にプレゼントしましょうか? ただし、リンゴが実ってからなので、10月以降になりますけれど……」 (※カクテルプレゼントの応募は終了いたしました)  なんと、20年待ち(!)の生のリンゴ、しかも旬の直送リンゴを使ったフレッシュフルーツのカクテル。果汁を絞るときは、素材の味を重視のスロージューサーを使うという徹底ぶり。お店では1400円相当だというが、木村さんのリンゴの希少価値を考えたら、プライスレスだ。また、映画『奇跡のリンゴ』を観た人ならば、そのカクテルを味わいながら感動の涙がフラッシュバックしてくるに違いない。 <取材・文/ならこ> 【お店情報】 BAR ODIN http://authenticbar.com/odin/ ●恵比寿店 住所/東京都渋谷区恵比寿1-8-18 K-1ビル地下1階 ※JR恵比寿駅西口より徒歩1分 TEL/03-3445-7527 営業時間/18:00~27:00(祝日は~24:00) 定休日/日曜 ●銀座店 http://ginza-odin.com/ 住所/東京都中央区銀座5-4-15 銀座エフローレビル5地下1階 ※営団地下鉄銀座駅より徒歩1分 TEL/03-5537-0055 営業時間 Restaurant Time 18:00~22:30 Bar Time 22:30~27:00(祝日は~24:00) 定休日/日曜
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