更新日:2012年03月10日 04:54
ニュース

自然エネルギーへの転換は本当に可能?

「自然エネルギーは原子力に勝てないのでは?」とは多くの人が持つ素朴な疑問だろう。日本が官民一体で展開した途上国への原発売り込み作戦に期待を持った人もいたはず。環境エネルギー政策を数多く提言する飯田哲也氏は、この風潮を一貫して批判してきた。 「日本が”原子力妄想”に浸っていた21世紀の最初の10年に、世界の現実は変わりました。自然エネルギーがIT革命に続く”第4の革命”として驚異的な成長を遂げたのです」  ドイツの電力に占める自然エネルギー比率は10年で10%も増加。世界全体でも、’09年には前年比で太陽光6割増、風力4割増と、爆発的に市場を拡大させている。発電コストも急低下し、すでに太陽光と原発は逆転したとの報告も。 「自然エネルギーへの投融資はリーマンショック後も止まらず、’20年には100兆円を超える勢い。このままでは日本は蚊帳の外です」  もはや震災前には戻れない日本。今からでも方向転換できるのか? 「自然エネルギーの普及は原発と違って短期間で実現できるので、復興の経済刺激策として極めて有効です。分散型技術は普及すればするほど性能が上がり、安くなる。これからの10年が勝負です」  飯田氏は「3月11日は、日本にとって明治維新、太平洋戦争敗戦に次ぐ”第3のリセット”の日となった」と語る。エネルギー政策をはじめとする分野で、今こそ現実を直視し古いパラダイムから脱却しなくてはならない。 【飯田哲也氏
110426_CL3_11.jpg
1959年、山口県生まれ。NPO法人環境エネルギー政策研究所所長。 自然エネルギー政策の提言などで国内外で活躍している 取材/尾原宏之 撮影/山形健司 写真提供/産経新聞社 末澤寧史 図版作成/ミューズグラフィック 復興のための田中康夫ビジョン -【11】
おすすめ記事