アベノミクスの影響でコインパーキングが減っている?
―[道路交通ジャーナリスト清水草一]―
ちょっと前までコインパーキングだったのに、ある日、突然ビルになっていた! 東京23区では、そんな場所が目立つ気がします。もしや、これはアベノミクスで景気が上向いているから? このままではバブル期のように駐車場難民になってしまう!? そんな疑問&不安にコインパ評論家がお答えします!
清水草一=文 Text by Shimizu Souichi
フォッケウルフ=写真 Photographs by Fochewulf
◆景気回復でコインパは大丈夫か!? 取材してみた!
アベノミクスにより景気が上向いてきたが、景気回復と聞いて頭をよぎるのはバブル期のこと。実は、クルマ利用者にとって、バブル期は地獄期だった。
欲しいクルマ(例・フェラーリ)の値段は天井知らずに上がるし、都内はとてつもない渋滞で、泥田の海を泳いでいるよう。同時に襲いかかった恐るべき駐車場難。バブル期のクルマは「高い・走れない・止められない」の三重苦で、見栄を張るだけの大変不便なものになってしまっていたのである。
景気が回復すれば、都心部の地価は上がり、遊休地も減るだろう。そのとき何が起きるかといえば、コインパーキングの減少ではないか?
都内の道路を知り尽くすプロドライバーに聞いたところ、「確かにコインパーキングの数は、減ってるような気がしますね。空き地がどんどんマンションになっています。自由が丘駅近くとか、虎の門とか、再開発がかかっているところは特に目につく」とおっしゃる。実際のところ、どうなのだろう。
都内の駐車場案内サイト「s-park」を運営する東京都道路整備保全公社に問い合わせたところ、答えは意外にも「時間制駐車場数は、近年一貫して増えています」とのこと。
景気がやや上向いたリーマンショック直前期から見ても、
平成17年度 約4500場
平成18年度 約4800場
平成19年度 約5900場
平成20年度 約6700場
という具合に右肩上がりで、その傾向は現在まで変わっていないという。
コインパーキング最大手「Times」を運営するパーク24に聞いても、答えは同じだった。
「駐車場が最近なくなっている、駐車場だったところにビルが建ったなどと言われることがございます。これは、景気上昇により土地が売却された、建築計画が実行されたなどの影響ですが、これは当社にとってほんの一部の大型駐車場に起こった事例で、お客さまから見たときに、これらの土地はどうしても目立つ(立地としても)ため、解約が増えているように見えてしまいます。当社駐車場は平均14台で、中心は5台程度の小型の土地です。これらのほとんどは、幹線道路から数本下がった内側にあり、立地条件からも土地の規模からも、流動化されづらく、景気上昇を影響とした解約の増加はほとんどございません」(パーク24広報部)
満車率についても、景気の変動による影響は、これまでのところ見られないそうだ。
⇒【後編】「世界初のコインパーキングは東京都台東区に誕生」へ続く https://nikkan-spa.jp/503804
◆下流自動車評論家・マリオ高野の所沢市下山口のコインパリポート
私の自宅の最寄り駅、西武狭山線・下山口駅前は、現在コインパなし。西武ライオンズの試合のある日以外は誰も寄りつかない土地のためあまり需要がなく、ちょっとした用事なら田舎のコンビニやスーパー特有の広大な駐車場を利用できるからでしょう。それでも、数か月前になくなった駅から徒歩20分ほどの距離の24時間600円のコインパはいつも満車で、個人的にも撮影用に借りたクルマを停める際にたいへん重宝していたので、復活を切望しております!
― 東京23区コインパーキング事情【1】 ―1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高速の謎』『高速道路の謎』などの著作で道路交通ジャーナリストとしても活動中
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