デジタル

位置情報共有サービス「tab」と「セカイカメラ」の違い

’09年に登場しスマホの可能性を広く多くの人にアピールしたセカイカメラ。スマホが普及し、多くのサービスが登場しているいま、サービス終了を迎えた意味とは? 運営会社のtab(旧:頓智ドット)CEO谷口昌仁氏に話を聞いた ⇒【前回】https://nikkan-spa.jp/581825 ◆AR・O2Oからオムニチャネルへ  ’14年2月22日のセカイカメラ終了後も存続する同社のサービス「tab」。気になる場所やイベントなどをクリップできるtabはセカイカメラと何が同じで、何が違うのだろうか?
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「セカイカメラは、出資や、スポット広告、不動産・飲食情報サイトとの提携などはありましたが、継続的なマネタイズという面では厳しい状態が続いていました。一方、tabでは、有料の法人アカウントを用意し、小売店、飲食店に利用していただいています。商品の割引サービスやセール情報などを、位置情報やビーコンを利用して発信しています。近年、O2O(オンラインからオフラインへ)という単語が注目されていますが、自前主義でお金はかけているけれど、うまくいっていないという企業もあります。eコマースの初期と同じ状態です。tabは、リアル店舗への送客力や、ユーザー間のバイラル力を武器に、企業のオムニチャネル化を支援します」  オムニチャネルとは、ウェブとリアル双方で顧客との接点を設け、双方を活用して顧客満足度を高めること。企業、ユーザーにとってどんなメリットがあるのか? 「企業にとっては、顧客の行動をどこまで補足し、活用するかが問われています。ネットショッピングでは、どんな商品をチェックして、実際何を買ったか、何と一緒に買ったかなどのデータが膨大にあり、それによって商品を薦めることができます。tabなどをユーザーが使うことで、その顧客が店舗の周辺に立ち寄った、入店した、商品を気に入って手に取って写真を撮ってクリップした、など細部までわかるようになり、リアル店舗でも同様のことが可能になるんです。ユーザーにとっては、リアル店舗ならではの不便さや煩わしさから解放されます。弊社が行った調査によると、20代の多くが見知らぬ第三者とのコミュニケーションを煩わしいと思うそうです。ピザのネット注文のように、商品の取り置きなどができると便利ですよね」  リアル店舗に行く前に、売り場の様子やセール情報、在庫数などがスムーズにわかれば便利そうだ。また、インタレストという点では何が変わったのだろうか? 「tabは雑誌、フリーペーパーのようなメディアとしての側面があります。個人が興味を持ってtab帳に集めたものは、他のユーザーも閲覧できるので、自分の興味に合ったtab帳を見つければ、ガイドブックになります。実際、セカイカメラは土日の利用がほとんどだったのですが、tabは通勤時間帯や昼休みなど、暇つぶしに使われていることが多いです」  tabをセカイカメラと比較すると、一見全く違うサービスに見える。しかし、リアルをウェブによってリッチにするという意味では、正統に進化したものだと言えるのかもしれない。最後に、グーグルグラスで再び注目が集まるARの未来を語ってもらった。 「ARは画面上に情報を表示させるイメージがあると思いますが、デバイスの進化によって見せ方は変わっていきます。近い将来、スマホだけでなく、目に見える全てのものが、デジタルサイネージなどのようにディスプレイ化されていくでしょう。tabは、そんななかでディスプレイが何であるかを問わず、コンテンツの質や量、整理の仕方に注力していきます」 【セカイカメラ】 2009年9月、AppStoreからリリースし、4日間で10万ダウンロードを記録。スマホのカメラで風景を写すと、ユーザーが投稿したコメントや画像、音声が表示されるアプリ 【tab】 行きたい場所や情報をストックして共有するサービス。外出時にストックした地点に近づくとプッシュ通知も受けられる。小売店や飲食店など、法人向けアカウントも無料・有料で提供 【谷口昌仁氏】 tab(旧:頓智ドット)CEO。過去には、NTT、経済産業省、楽天などで活躍。小泉政権下では、内閣総理大臣秘書官付を務めた ― 運営会社CEOが語る「セカイカメラ」の終わりと未来【2】 ―
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