デジタル

運営会社CEOが語る「セカイカメラ」の終わりと未来

 セカイカメラがリリースされた’09年。iPhoneの日本発売から1年が過ぎ、スマホが普及し始めたというときだった。スマホのカメラをかざすと、目の前の風景にコメントや画像が浮かぶ。そんなSFの世界のような体験に、スマホの未来を感じた方も多いのではないだろうか。そんなセカイカメラが、’14年2月22日、サービスを終える。AR(拡張現実)で注目を集めたアプリはなぜ、終了に至ったのか? 運営会社のtab(旧:頓智ドット)CEO谷口昌仁氏に話を聞いた。 ◆混沌×混沌の世界を捨て、思想は次アプリへ引き継ぐ
セカイカメラ

セカイカメラ

「まず、ダメだった点から3点お話しします。1つ目は、使うにあたりスマホをかざさなくてはいけなかったこと。セカイカメラが登場する前から研究されていたARを、スマホというデバイスを使って身近なものにしたことは大きい。けれど、かざすのは実際恥ずかしいですよね。周辺の情報はスマホの画面を見てリストや地図で見るのでも十分なわけですし」  たしかに、繁華街でスマホをかざすと不審な目で見られる。さらに、「2つ目は、情報の整理ができていなかったこと。街中を歩いていると多くの情報が目に飛び込んできます。混沌としている現実に、混沌としているウェブ上の情報を載せると、混沌が合わさって、何を見たらいいのかわからない、有用な情報の取捨選択を困難にしてしまった。3つ目は、毎日使う必要性がないこと。いつもの通勤経路で、馴染みの繁華街で、前に見たときと違う情報があれば人は使うけど、それがわからなければ使ってくれない」と、セカイカメラへの反省は尽きない。
谷口昌仁氏

谷口昌仁氏

 谷口氏が同社CEOに就任したのは、’11年末。セカイカメラリリース時には、楽天に在籍していた。セカイカメラのリリース当時を振り返り、「三木谷さんと、eコマースだけでなくリアルな売買をサポートできないと、5年後ヤバいという話をしていました。セカイカメラとは少し違うイメージでしたが、先にやられた!という思いはありました」と語った。就任後、着手したのはセカイカメラ終了後も存続する同社のサービス「tab」だった。tabは、PCやスマホ、タブレット上で自身が気になる場所やイベントなどをクリップできるサービス。クリップした情報はテーマごとにtab帳としてユーザー間で共有される。 「セカイカメラという名前はなくなりましたが、現実世界をリッチにしていくという思想はtabに引き継がれています。tabの開発名は『新セカイカメラ』ですし、『セカイカメラ2.0』と名付けてもよかった。けれど、ダメだった点を改良するだけでなく、足りなかったことを加え、新しいサービスとして登場させました」  足りなかった点は、マネタイズ、インタレスト(興味)、アクション(行動)だという。tabはセカイカメラと何が同じで、何が違うのだろうか? ⇒【次回】に続く https://nikkan-spa.jp/581826 【セカイカメラ】 2009年9月、AppStoreからリリースし、4日間で10万ダウンロードを記録。スマホのカメラで風景を写すと、ユーザーが投稿したコメントや画像、音声が表示されるアプリ 【tab】 行きたい場所や情報をストックして共有するサービス。外出時にストックした地点に近づくとプッシュ通知も受けられる。小売店や飲食店など、法人向けアカウントも無料・有料で提供 【谷口昌仁氏】 tab(旧:頓智ドット)CEO。過去には、NTT、経済産業省、楽天などで活躍。小泉政権下では、内閣総理大臣秘書官付を務めた ― 運営会社CEOが語る「セカイカメラ」の終わりと未来【1】 ―
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