カーライフ

“クルマの買い替え特需”も製造追いつかず

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図版/ミューズグラフィック

2回とも都内から東北自動車道を経由して宮城県入りしたのだが、栃木県那須塩原市の黒磯PAを越えた辺りから、地震により陥没した路面の補修痕が目立っていた。 日本の高速道路は有事の際、集中して補修作業が行われるシステムが組まれている。今回の震災で通行止めになった高速道路を、わずか2週間足らずで一般車両が通行できるように復旧させたことに世界中のメディアが驚いていたが、これはあくまでも緊急工事であり、時速80km以下、場所によっては50km以下に速度を落とさなければ、路面の凹凸でクルマの挙動が不安定になることもあった。 現在も荒い路面のままという箇所も多いだろう。これから東北道を利用する場合、周囲よりも黒っぽい補修痕に気づいたら、急ブレーキをかけずに、ゆっくりとブレーキを踏んで減速し、そのままの進路でやり過ごしてほしい。 さて、訪れた被災地の状況はといえば、仙台市内からほど近い仙台港や、七ヶ浜町の菖蒲田浜付近でも津波の影響は色濃く、クルマがひっくり返ったミニカーのように点在していた。日刊自動車新聞(4月19日)によると、青森、岩手、宮城、福島の4県における自家用車の被害は41万台にものぼるという。 こうしたクルマの買い替え特需が起きている一方で、肝心のクルマが足りないのが現状だ。モータープールに保管されていた新車が流されたことや、震災により部品供給や工場そのものがストップしたことで、クルマを製造することができないからだ。自販連と全軽連が5月2日に発表した4月の国内新車販売台数は、’10年4月比47.3%減の18万5673台と、’68年1月以降、最大の減少率かつ、最少の月間販売台数を記録した。ならばと中古車に注目が集まっているのだが、安価な軽自動車は売り切れ状態。燃費が悪い大排気量のクルマは被災地でも残っていたが、 「ガソリン入手難を経験したこともあり販売は伸びない」(中古車販売店員)という。 二輪にしても状況は同じで、原付バイクを求める人が急増しているが、やはり供給が追い付かない。トリガー条項(ガソリン価格の高騰時に揮発油税などを減税する特例措置)も一時凍結されたため、燃費の良い乗り物を求める声は大きく、同時に四輪、二輪ともにEV(電気自動車)に対する期待度も高い。 ところでボランティア活動参加後、すぐに大型二種免許を取得した。大型一種とけん引免許は持っていたが、被災地のニーズに少しでも近づきたいと考え奮起したのだ。次回は緑ナンバーのトラックやバスの運ちゃんとして、被災地を目指します。

【結論】

浜岡原発の全面停止で、自動車関連企業には逆風が続くが、先だってのスズキ自動車の鈴木修会長の発言のように、ドンと構えた姿勢で踏ん張りつつ、被災地の復興とともに本格的な生産再開に期待したい

翌日には緊急車両の通行が可能に!

地震の影響で、甚大な被害を受けた高速道路。NEXCO東日本管内全体で20路線、合計854kmもの区間に被害が及んだ。しかし地震翌日には緊急車両の通行を可能とする仮復旧を完了。この迅速な対応は、海外メディアなどでも取り上げられた

被災地のクルマに関する国の措置

国税庁は、津波により廃車となったクルマの所有者には自動車重量税の還付を行うほか、車両の買い替え時(中古車を含む)に自動車重量税を免除すると発表。また警察庁は、震災で紛失した運転免許証の再交付手数料を9月30日まで一部地域で免除している。そして国土交通省は、津波の被害に遭ったクルマに関する「移動自動車相談所」を開設。避難所等で、廃車手続きや海水に浸った車が使用可能かといった技術的な相談や無料点検などを行っている

ダイムラーが50台の車両を寄付!

ダイムラー社は三菱ふそうトラック・バス、メルセデス・ベンツ日本とともに、小型トラック「三菱ふそう キャンター」30台、オフロードトラック「メルセデス・ベンツ ゼトロス」8台など、合計50台の車両(総額約4億8000万円)を寄付した結論 SPA! AUTO CLUB Vol.683 クルマは? 道路は? 被災地の実情をボランティアとして調査してきました 被災地のクルマ・道路事情リポート 西村直人=文 写真/時事通信
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