「求められる支援も変化する」被災地からの情報発信の必要性
― 被災地「地元紙」が見た復興を阻む意外な大問題【9】 ―
“あの日”から半年以上が経つ。被災地の「地元紙」は、3・11以前から、街に寄りそい、そして以降も地域の避難情報、救援情報を発信し続けている。被災者でありつつも記者という立場の彼らだからこそ見える課題がある。大マスコミからは注目されない現場事情を追った
【大船渡】
◆的確な情報発信も復興の手がかりに
大船渡市は被災者の仮設住宅への移転も100%完了。が、それに伴い新たな課題が生まれている。
「例えば、ある仮設住宅団地は、309世帯が入居しています。一世帯3人の単純計算で、1000人の新しい町ができたわけです。しかし、隣に住む人がどんな人なのかがわからない。防犯上の不安もあり、表札を出す人は半分もいません。早く自治会長さんを選び、集会所を設けるなど、向こう三軒両隣といったコミュニティづくりが急がれます。セキュリティの問題もありますし、日中一人でいるお年寄りたちのケアも重要です。行政サイドも見守りや保健師の健康診断などを行っていますが、今後、阪神淡路大震災の際のような、孤独死といった問題も出てこないとは限りません」と、『東海新報』編集局長の佐々木克孝氏は語る。
先日は、長野県の民間会社から、「集会所として使ってほしい」とトレーラーハウスが提供されたというが、求められる支援も、こうした分野へと移っているという。
「被災直後、ちょうど新入学の時期にあたり、全国からランドセルが支援されました。しかし、結果として、新1年生一人あたり7つのランドセルが届いたんです。ノートや鉛筆も、一生分使えるほどのものをいただきました。ありがたい話ではありますが、ある意味、これは街のカバン屋さんや文房具屋さんにとっては、営業にかかわる問題になる。今回の震災からの復興は、被災地の努力だけでなしえることはできません。その意味でも、的確な情報を発信していくというのも、復興を進めるうえでの課題と言えるでしょうね」
【佐々木克孝 編集局長】
取締役編集局長。震災直後は安否情報、復旧への動きを中心に報道することに決めた
- 1960年に起きたチリ地震津波を想定して造られた大船渡湾港防波堤を乗り越え、津波は湾内に流入。建物の3階の高さまで達した。残されるガレキの撤去が進められ、街の道路は大型ダンプが行き交う
【佐々木克孝 編集局長】
取締役編集局長。震災直後は安否情報、復旧への動きを中心に報道することに決めた
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