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APECでの中国の態度に旧共産圏出身者は「なつかしい手口」

 今月11日に閉幕したAPEC。同日には安倍晋三首相と習近平国家主席による日中首脳会談も実現した。世界の注目が集まっているということで、中国の準備は万全。普段はPM2.5で一寸先も見えないような北京の街並に、交通量や工場の排ガスを規制したことで青空が見えたことや、首脳陣の車列の横で少数民族の衣装を着た人々が踊ったことが各国のニュースで報じられている。

◆人民服を着た各国首脳に欧米メディアは「アホなシャツ」

APECでの中国の態度に旧共産圏出身者は「なつかしい手口」

「The Washington Post」より

 しかし、こういった“パフォーマンス”に欧米メディアは冷めた視線を向けている。たとえば各国首脳陣の服装。93年のAPECから、ネクタイを外してカジュアルな服を着ることで親密さをアピールしようという慣例がはじまったのだが、その主旨はいつの間にか変化。今回のAPECではプーチン首相やオバマ大統領が人民服に身を包んでいたが、ワシントン・ポスト紙は「APECのアホなシャツ なかなか消えない無様な習慣」という辛口なコラムを発表している。

 また、日本国内では日中首脳会談で安倍首相と握手した習近平国家主席が通訳を介した挨拶を無視したことや、無表情のまま握手したことが報じられたが、そういった中国の姿勢はアメリカやイギリスでも同じように報道されている。「ぎこちない」、「冷えきった握手」、「関係の悪さがありありとわかる」など、両国間のネガティブな面が強調されており、APEC で“大国っぷり”をアピールしようとしている中国の思惑とは真逆の話題ばかりがとりあげられている。

◆枯れた芝生を緑に塗る

 こういった報道を見てもわかる通り、今回のAPECでは中国が世界に見せようとしている理想の姿とその現実にギャップが生じているようだ。しかし、現在は日本に暮らす旧共産圏の東欧で育った女性に話を聞くと、こういった“背伸び”している中国の姿はある意味なつかしいという。

「要人がパレードに参加するときはサクラを集めるのが当たり前でしたよ。ただ、なかなか人が集まらないので、車列が通るルート付近では普段より多く食料を配給したりしていました(笑)。それでも人が集まらない場合は一度車列が通った場所のサクラを移動させて、何度も使い回していましたね」

 北京オリンピックの際には中国政府がサクラを集めていたことが欧米メディアでとりあげられていたが、旧共産圏出身者から見て、今回のAPECも同じように映っているようだ。

「寒い時期に政府のパレードが行われると、沿道の芝生が枯れていて見栄えが悪いのでペンキで緑に塗ったりしていましたね(笑)。今回も北京がキレイにライトアップされていますけど、遊園地みたいな“作られた”感じがしますね。」

 エキストラを集め、ロケ地の舞台を整えていく様子は、ハリウッド映画顔負けだ。

 また、旧共産圏では他国や国内大手メディアで報道される様子以外にもさまざまな工作がなされていたという。

「雰囲気を盛り上げるために、イベント前後は『農作物がいくら収穫された』とか、明るいニュースしか放送しないんですよ。逆にデモなど反体制派の人が集まりそうになるときは、普段は絶対に放送しないような西側の映画やドラマをバンバン流して、なるべく人を家から出させないようにしていましたね」

 面子を気にして“化粧”をした姿ではなく、腹を割った素顔の中国に期待したい。 <取材・文/林バウツキ泰人>

※参照元
● The Washington Post:http://www.washingtonpost.com/blogs/worldviews/wp/2014/11/10/apecs-silly-shirts-the-awkward-tradition-that-wont-go-away/

● The Guardian:http://www.theguardian.com/world/2014/nov/10/xi-jinping-shinzo-abe-ice-breaking-meeting-apec-starts

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