KAIENTAIとTAKAみちのくの因縁ドラマ――フミ斎藤のプロレス講座別冊WWEヒストリー第291回(1998年編)
それはWWEのリングで同時進行していたいくつかの連続ドラマのうちのひとつだった。観客席からの乱入―TAKAみちのくへの集団暴行という形でWWE入りをアピールした海援隊★DX(ディック東郷&MEN’Sテイオー&船木勝一)は、約1カ月半の“乱入期間”をへて5.11“ロウ・イズ・ウォー”ボルティモア大会で正式にTVデビューを果たした。
日本人トリオのチーム名については当初はKK(クラブ・カミカゼ)というややステレオタイプ的なネーミングが検討されていたが、最終的にはみちのくプロレス時代と同じKAIENTAIがそのまま使われることになり、個人名はそれぞれトーゴー、テイオー、ショー(その後、フナキに変更)という短縮形になった。
午後9時ちょうどの全米生中継開始と同時にリングに登場してきたKAIENTAIは、この日、テリー・ファンク&スコーピオと“3対2”のハンディキャップ・タッグマッチで対戦。日本的な感覚でいえば、インディーズ育ちの3選手が世界最高峰のWWEのリングで、しかも“生ける伝説”テリーと対戦すること自体が夢のようなできごとだった。
もっとも、試合開始から約3分後にはTAKAとこの時点でのTAKAのタッグ・パートナーだったブラッドショー(のちのJBL)が乱入し、KAIENTAIの記念すべきデビュー戦はぶち壊された。新たなる因縁ドラマがはじまろうとしていた。
翌週5.18“ロウ”ナッシュビル大会のTVマッチではTAKA対フナキのシングルマッチが組まれた。日本では海援隊、というよりも夢狩人のチーム名で定番タッグチームとして活動していた両者のシンングルマッチは、WWEの観客があまり目にする機会のないみちのくスタイルのハイスピードでキメのこまかいプロレスのディスプレーとなった。
試合は、TAKAがフィニッシュ技のみちのくドライバーⅡの体勢に入ったところでトーゴーが乱入し、レフェリーはTAKAの反則勝ちをコール。試合終了のゴングと同時にブラッドショーも飛び出してきてリング上は大乱闘モードとなった。
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