Xパック電撃復帰とHBKのいないDX――フミ斎藤のプロレス講座別冊WWEヒストリー第288回(1998年編)
“問題児”Xパックことショーン・ウォルトマンが古巣WWEのリングに電撃復帰を果たしたのは、ポスト“レッスルマニア14”の新シーズンがスタートした3.30“ロウ・イズ・ウォー”(1998年3月30日=ニューヨーク州オーバニー、ザ・ペプシ・アリーナ)の全米生中継だった。
「重大がアナウンスメントがある」
トリプルHのスピーチはこんなセリフからはじまった。リングのまんなかに立っていたのはトリプルHとチャイナのふたり。この日、試合出場予定のなかったトリプルHはライダース系の黒の革ジャンにデニムといういでたちで、“女ボディーガード”チャイナはトリプルHが保持するヨーロピアン・ヘビー級王座のチャンピオンベルトを大切そうに抱きかかえていた。
トリプルHの“重大な発表”とは(1)前夜の“レッスルマニア14”で“ストーンコールド”スティーブ・オースチンに敗れWWE世界ヘビー級王座を失ったHBKこと“ハートブレイク・キッド”ショーン・マイケルズは同夜から戦列を離れため、アリーナには来ていないこと(2)ショーンが不在中、トリプルHがDX(ディジェネレーションX)の指揮をとること(3)この危機的な状況を乗り切るために“信頼できる友人”に協力を求めたこと、の3点だった。
トリプルHによるイントロダクションを受ける形で、トリプルHと同タイプのライダース系の黒の革ジャンを着たXパックが入場ゲートに登場してきた。そこにいるのはつい数カ月まえまでライバル団体WCWの月曜夜の連続ドラマ“マンデー・ナイトロ”の画面に映っていたシックスだった。
この時点ではまだ新リングネームが正式決定していなかったため、トリプルHはXパックを「オレの友人」としてライブの観客に紹介した。
リングに上がり、マイクをつかんだXパックはいきなり「おい、ホーガン、おい、エリック・ビショフ、テメーらはサイテーなんだよ」と叫んだ。この“政治的コメント”にアリーナが大きく揺れた。トリプルHとXパックは革ジャンの下におそろいのDXのロゴ入りのTシャツを着ていた。
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