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いつまでたっても「調査中」の高速道路。高速はいらないけど貧しすぎる国道は何とかすべき現状

 2020年の東京オリンピックに向け、高速道路が次々開通するなか、首都圏や首都圏に比較的近い地域にも、いまだ「調査中」の区間がいくつか残されている。 「調査中」とは、何を調査中かというと、ルートを調査中という意味。つまり基本構想はあるが、具体的なルートがまだ決まっていない区間だ。代表的なものには、外環道の東名JCT以南(首都高湾岸線まで)があるが、中部横断道の長坂JCT―八千穂高原間も、調査中となっている。

中部横断道が完成するのはいつになる?

中部横断道

 中部横断道と言っても、あまりなじみがないだろう。新東名の新清水JCTから上信越道の佐久小諸JCTまでをつなぐルートで、「太平洋側と日本海側を4時間で結ぶ」というのが謳い文句だ。  このうち南側区間の、新清水JCT-双葉JCT(中央道と接続)間75kmは、2019年夏ごろ、つまり約1年後に全線開通する見通し。また、北側区間の約4割、八千穂高原-佐久小諸JCT間(23km)も開通済みだ。

国土交通省関東地方整備局発表資料より

 ところが、残る長坂JCT-八千穂高原間(34km)だけが、いまだ「調査中」となっている。  国土交通省が1kmの幅を持たせたルート案を提示して検討中という段階にあるが、一部地元住民がこのルート案に反発していて、建設の大きなネックになっている。近年、都市部ならともかく、地方で高速道路の建設反対運動が盛り上がることはあまりないが、この区間に関しては、特に山梨県側で、かなり強い反対運動になっている。

なぜ山梨県側で強い反対運動が起きているのか?

 長坂JCT-八千穂高原間は、八ヶ岳山麓の南から東側を通る高原ルート。沿道には清里や野辺山といった観光地もあり、長野県側では完成を待ち望む声が大きい一方で、山梨県側の清里地区には、反対派が多い。

「中部横断自動車道(長坂~八千穂)長野県区間に係る計画調整会議(第2回)議事概要」より

 清里付近のインターチェンジ概略位置付近に行ってみると、畑や牧場、ペンション、別荘などが点在する高原リゾート。地元住民にしてみれば、「ここに高速道路を通すのはやめてくれ」と思うのも無理はない。

とっても、のどかな場所です

 清里地区は、現状でも中央道の3つのインターから30分以内でアクセスでき、ルートも国道141号線のほか、県道や広域農道などいろいろ選べる。高速道路ができても、大してメリットはないという事情も大きいだろう。
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高速道路はいらないまでもボロボロの国道だけでは厳しい事情
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1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高速の謎』『高速道路の謎』などの著作で道路交通ジャーナリストとしても活動中

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