米倉涼子の『リーガルV』と『ドクターX』、ウケる理由に大きな違い
いよいよ本日、12月13日に最終回を迎える『リーガルV~元弁護士・小鳥遊翔子~』。
ここまで放送された全8話中、5話で平均視聴率15%を超えるなど、この秋スタートした連続ドラマの中で最も視聴者から熱い支持が寄せられた作品となった。なぜ、本作はここまで“ウケた”のだろうか?
当初、本作は同じ米倉涼子主演でこの枠で放送されていた大ヒットドラマ『ドクターX~外科医・大門未知子~』の幻影を期待して観る視聴者が多かったように思われる。
確かに最後の最後で『水戸黄門』よろしく弱きを助け、強きをくじく“勧善懲悪”の形で話が痛快に着地し、うまくまとまる構造は同じ。だが、『ドクターX』は米倉演じるヒロイン“絶対に失敗しない女医”の大門未知子が完全無欠のスーパードクターとして物語を引っ張っていき、“個の力”で魅せるのに対し、本作の小鳥遊翔子は弁護士資格を剥奪された“元・弁護士”――表面上、その役割は自身が立ち上げた京極法律事務所のただの管理人にしか過ぎない――ということもあって、後方支援に徹さざるをえなくなっている。
つまり彼女はリーガルドラマで最も見どころの一つである法廷シーンで、その見せ場に立つことが出来ないワケだ。事実、翔子が法廷に立ったのは第1話のみ。弁護人側の証人としての役割を果たしただけにすぎなかった。要は翔子の活躍の見どころは“元・弁護士が現・弁護士を巧みに操る”そのやり方にある。
そして、そのためには彼女がスカウトした法律事務所のメンバーのキャラが重要となってくるのだが、この面々のキャラが実に“立って”いるのである。
実直な反面、極度のあがり症で翔子からは“ポチ”と呼ばれている青島圭太(林遺都)。無駄に資格を多数保持していて「○○の極み」が口癖の京極雅彦(高橋英樹)、いわゆる“ヤメ検”で検事時代に当時は弁護士だった翔子に完敗した屈辱の過去を持ち、翔子を苦手とする大鷹高志(勝村政信)……etc.。
『ドクターX』と違って、米倉涼子は見せ場に立てない
『リーガルV』は全員野球の面白さ
もちろん、キャラが立っているだけではない。京極法律事務所のメンバー誰かに必ずスポットライトが当てられる回があり、実質上のその回の主人公として見せ場がある点は見逃せないところだ(たとえば第6話~第7話で展開された婚活相談所詐欺のエピソードは安達祐実演じるパラリーガルの伊藤理恵にスポットライトが当てられていた)。 この“キャラ”の立ち具合は毎回何らかの形で翔子と対決するFelix&Temma法律事務所の面々にも当てはまる。海崎勇人役の向井理、白鳥美奈子役の菜々緒、そして翔子の元上司であり、弁護士会会長を務める天馬壮一郎役の小日向文世と、その敵キャラぶりはまさに“あっぱれ”のひとこと。
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