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あなたの将棋をプロ棋士が診断。「次の一手募集企画」の回答を発表!

将棋はわかるけど強くはない人向けの一冊『将棋「初段になれるかな」会議』。出版を記念して、日刊SPA!では「級位者の次の一手」を募集した。常に“選択と決断”を迫られる将棋というゲームは、その局面の数だけ悩みがある。将棋ソフトに診断をかければ“最善手”は出るけれど、ソフトは「なぜ、その手がいいのか?」までは言語化してくれない。そんな悩める子羊たちは少なくないようで、多くの応募が寄せられた。今回は、待ちに待った【回答編】をお贈りする。 岡部敬史(以下、岡部):昨年末に『将棋「初段になれるかな」会議』(以下『初段会議』)の出版を記念して、みなさんから「次の一手」を募集したんですよね。 さくらはな。(以下、さくら):どう指せばよかったか迷った局面を高野先生に見ていただき、アドバイスしていただくという企画です。私も本のなかで教えてもらいましたが、とても役立ちました。 高野秀行(以下、高野):メールとツイッター合わせて20件ほど応募いただきまして、ありがとうございました。そこから6つに絞って回答したいと思います。 岡部:採用されなかったみなさん、ご容赦くださいね。なお、わかりやすいように、質問された方をすべて先手としています。 高野:1から6までで、なんとなく難易度が上がるように選んでみました。まずは「美桜@さんぽ」さんの質問です。

△5四歩まで。美桜@さんぽさん

「と金」を作る「垂れ歩」の手筋

岡部:「美桜@さんぽ」さんから《この後▲2四歩としたのですが▲2三歩など他の手の方がいいのでしょうか?》との質問ですが、どうでしょうか。 高野:これは2四歩で正解です。2三歩だと角を引かれると攻めが続きません。 さくら:『初段会議』でも出てきた「垂れ歩」ですね。次に成って「と金」を作るのが狙いです。 岡部:こうなると後手は厳しいですね。 高野:後手の駒組みがよくありませんね。2筋の飛車先の歩を交換されたら、必ず2三歩と受けるようにしましょう。

△4五銀まで。かるこえさん

「手損」はあまり気にしない

岡部:次は、「かるこえ」さんの質問です。《相手の銀が進出してきました!ヘルプ!!》とのことですが、どう指しましょう。 さくら:2五銀と攻めたくもなりますが、それだと後手に3三桂と跳ねられて銀が死んじゃいますね。 高野:そうなんです。ですからここは3七銀と引きましょう。 岡部:なるほど。4筋を守りつつ、次に2三飛成の狙いが残りますね。 高野:もちろん後手も3二金と上がってきますが、ここは銀を引いてゆっくり指す局面です。 岡部:一度、進めた駒を下げると手損が気になるんですが、このように引いたほうがいい局面って多いんですね。 高野:初段までのレベルなら、手損はあまり気にせず、いい形で駒を活用すること大事。引くことも大切ですよ。 さくら:この先の攻めはどういう形が考えられますか。 高野:たとえば7五歩を突いておく。そして、その先に7四歩、同歩、5五角で王手香取りを狙うとか。 さくら:なるほどー。 高野:とにかく今は後手に3六銀と出てこられることが嫌なので、これを防ぐために銀を引きましょう。

nbtbさん

終盤ではわかりやすい「詰めろ」を

岡部:次はメールで送ってくださったnbtbさんの質問。4枚落ちでの指導対局で、ここからどのように寄せていけば――とのことですが。 高野:ここまでは美濃囲いもしっかりできていて、とてもバランスよく攻められています。それでこの局面以降怖いのが、後手に5四玉から盤面左側に玉が逃げ込まれることなんですね。 岡部:自分の駒が盤面左下に少ないですもんね。こちらに入玉される危険性があると。 高野:そうです。これを防ぐためにも、ここは2二竜と入りましょう。これで5二竜の詰めろになっています。 さくら:後手が5四玉としても5二竜で詰みなんですね。 高野:4二桂と受けてきたら、3一竜とさらに入ります。ここで後手が5四玉としてきたら6一竜と回って上部脱出を防ぎます。 さくら:これも5二竜の詰めろなんですね。 高野:終盤では、このように「分かりやすい詰めろ」をかけるのが大事です。 岡部:nbtbさんの質問に《竜を回って5二竜の形を目指すと3筋方面に逃げ込まれそう》とあったのですが、現状、これは気にしなくてもいいですか? 高野:これはまったく心配しなくて大丈夫。とにかく今は6筋、7筋方面からの入玉されないようにしなければならない。このために、自分の勢力図が弱いところに自分の強い駒を持っていくわけです。
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「連打の歩」にはご用心
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将棋「初段になれるかな」会議

シンプルに強くなる方法
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