「首都高の壮大な料金実験の場」として2020年東京オリンピックを活用すべし
―[道路交通ジャーナリスト清水草一]―
2020年東京オリンピック・パラリンピック開催中の渋滞緩和のため、東京都や国、大会組織委員会は、首都高に時間帯別料金を導入する方針だと報道されている。大会期間中には、関係者の輸送が多い時間帯の通行料金を上げる、一種の「ロードプライシング」である。
個人的には、首都高の時間帯別料金について、2011年刊の拙著『首都高速の謎』で、すでに導入を提案している。混雑する時間帯の料金を上げ、空いている時間帯の料金を下げれば、混雑を多少なりとも平準化することができるのだ。
現状、首都高で渋滞が最も激しいのは夕方、午後5時から7時くらいの間。この時間帯になると、渋滞表示が急激に真っ赤になり、午後8時を過ぎると急激に引いて行く。夕方ピーク時は、首都高でも下道でも所要時間にほとんど差がなくなってしまう。これでは有料道路の意味がない。
夕方の料金をある程度高くすれば、首都高の交通量はそれなりに減り、下道に移るはず。その分下道の混雑は増すわけだが、「お金を払って時間を買う」ことはできるようになる。混雑ピーク時の前後時間帯を割引すれば、移動の時間をずらす動機も強まる。これは資本主義原理に忠実な、ごく自然な交通政策だ。
オリンピック期間限定なら思い切った料金変動も許される!?
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1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高速の謎』『高速道路の謎』などの著作で道路交通ジャーナリストとしても活動中
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