「首都高の壮大な料金実験の場」として2020年東京オリンピックを活用すべし
中央環状線が全線開通し、首都高の道路整備による渋滞緩和対策は、ほぼ終了した。最後に残された手段が、時間帯別料金の導入だ。ただし、割増率や割引率は、それなりに大きくないと効果はない。
かつて首都高と阪神高速では、「オフピーク割引」と「ピーク割引」というものを実施していた。混雑する時間帯を通常料金の10%割引とし、それ以外の時間帯は3%割引にして、7%の料金差を設けていた。
しかし7%は、東京線(当時)でわずか50円。この程度では、わざわざ割引を受けようと思うドライバーはほとんどいなかった。
フランスの例を見ると、パリ―リール間の高速道路「A1」で、割増率最大56%(逆に前後の時間帯は最大56%割引)にしたことで、ピーク時の交通量を4~8%減らし、割引時間帯は逆に7%増加、という結果が出ている。首都高でも、これくらいの料金格差をつければ、かなりの効果が期待できるだろう。
1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高速の謎』『高速道路の謎』などの著作で道路交通ジャーナリストとしても活動中
「ロードプライシングは、運送業界の深夜業務を増加させ、働き方改革に逆行する」という意見もあるが、そうならないような時間帯別料金の設定をすればいい。時間帯別料金によって、働き方改革を推進することだって可能なはずだ。
取材・文/清水草一1
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