更新日:2023年03月28日 09:39
ライフ

外国人客に困るホテルスタッフ「夜のお店の案内を頼まれて…」

 海外からの旅行者が増えている昨今。ホテルから大勢の外国人観光客が吐き出される光景も珍しくない。実際に、「いまお客様の9割が外国人です」と話すのは都内某所のホテルに勤めて4年になる坂本さん(仮名)。  文化や言葉の違うさまざまな国籍の旅行者を接客するなかで、困ってしまうことも多いのだとか。
ホテルマン

※写真はイメージです(以下同)

ホテルのスタッフを悩ませる言葉の壁

 日本政府観光局の発表によると、2019年4月の訪日外国人の総数は約292万人(推計)。そのうち最も多いのが中国人で72万6100人、次いで韓国人が56万6600人、そして台湾人が40万3500人……その多くをアジア人が占めている。  中国人旅行者による日本製品の“爆買い”など、大金を落としてくれることに喜ぶ人がいる一方で、世間では「うるさい」「列に並ばない」「物をポイ捨てする」など、マナーの悪さが取り沙汰されることもある。実際のところはどうなのだろうか?  坂本さんによると、「中国人は個人旅行者と団体客で全く異なる」という。 「個人旅行者は旅慣れていて、日本に何回も来ている人が多い。そのおかげか、まったく問題ありませんよ。英語も堪能で、スマホの翻訳アプリを使って会話もできます。一方で、団体客は……。言い方は悪いけど、ひと昔前の海外にいた日本人の団体ツアー。自分では何もできない、知らないという人が多いんです」  困ってしまうのは“言葉の壁”だ。ホテルに英語ができるスタッフは多いが、中国語ができるスタッフは少ない。  内線がかかってきたかと思えば、中国語で一方的に話される。英語で「中国語はわかりません」と言えば、“ガシャ”と切られる(中国人添乗員が代理でかけてくることも多い)。  何か問題があっても理解してもらえないもどかしさ。朝食の際に「席が一杯なので今は座れない」ということが伝えられず、辟易してしまうことも多かった。今ではレストランもフロントも簡単な中国語で書かれた紙を用意しているそうだ。  坂本さんのホテルにはアジア以外の観光客も多く訪れる。 「アメリカ人とオージー(オーストラリア人)はかなりフレンドリーですね。フロントで目が合うと挨拶してくるし、いいイメージしかないです。ヨーロッパからはイタリア人が圧倒的に多く、フランス人とドイツ人は人数こそ少ないのですが紳士的です。余談ですが、ニュージーランドのパスポートはオールブラックス(ラグビー代表チーム)のマークが入っていて格好いい。あんなの欲しいですよ」  中国人の団体客に英語が伝わらず、困ってしまうことが多いのは前述のとおりだが、英語圏の人が相手でもうまくいかないこともある。 「東欧のおばちゃんなのですが……デビットカードにお金が入ってなくて支払いができなかったんですよ。カード会社に電話したのですが、目が悪いらしく、カード番号を代わりに読まされて。まあ、それはいいのですが、英語の訛りがきつく、わからないでいたら『このホテルのスタッフは英語ができない!』と怒り始めたんですよ。さすがに腹が立ちましたね」
次のページ right-delta
深夜トラブルや無茶な要求もある
1
2
おすすめ記事