(トワ・エ・モワ編)
アナログ盤、CD、DVDなど約2万枚以上。さらに雑誌やポスター、グッズ、珍品なども所有し(現在も収集中)、アーティストからも認められるほどの大の音楽ファンのクリス松村が、秘蔵のコレクションからとっておきの1枚を披露!
今回の『ミュージック・モア』のゲストは、デビュー50周年を迎えられた「トワ・エ・モワ」(※1)の芥川澄夫さんと、白鳥英美子さんです。
お二人は、きっと恋人同士だと思っていました。チェリッシュやダカーポも結婚しましたから……。
デビュー50周年を迎えたトワ・エ・モワのお二人
「いえ、そんなことはまったくなくて、仕事が終わったら、右と左に別れて、サヨナラ! そんな感じでしたね」(白鳥)
「え? 僕は気がありましたよ……」(芥川)
「ウソばっかり! 芥川さん、彼女がいたじゃないですか!」(白鳥)
『誰もいない海』を最初に歌った歌手は?
そんななか「クリスのお宝箱」から出てきたのは、シャンソン歌手の大木康子さん(※2)の『誰もいない海』です。トワ・エ・モワさんのオリジナル曲だと思われている方が多いと思いますが、実はカバー曲なんです。
クリスのお宝箱を興味深げに覗き込むトワ・エ・モワ
「その通りです。『これ、聴いてみてくれる、とってもいい歌なんだよ』とディレクターが大木康子さんの『誰もいない海』を持ってきたんです。私たちは、2年後の1970年にレコードを出したんですよ」(白鳥)
『誰もいない海』を最初にレコードにしたのは、確かにシャンソン歌手の大木康子さんですが、それよりも前に、この曲を歌っている方がいらっしゃるんです。ご存じですか?
1968年に発売された大木康子さんの『誰もいない海』
「え? 初耳だな…、そんな人がいたんですか?」(芥川)。
大木康子さんの歌が『誰もいない海』のオリジナルですよ
『誰もいない海』を最初に歌った方は、ジェリー伊藤(※3)さんです。お二人にレコードを見せると、意外な言葉が……。
ジェリー伊藤さんが最初に歌ったことをご存じなかったとは、逆にビックリ!
「へぇ~、ジェリー伊藤さんが最初なんですか? 大木康子さんよりも先に歌っていた歌手がいたなんて……」(白鳥)。
「初めての話です、いや、すごいです」(芥川)。
まさか、この話を、トワ・エ・モワさんが知らなかったとは…、レコードを持ってきた甲斐がありました。この『誰もいない海』は、1967年、『木島則夫モーニングショー』の「今週の歌」として、ジェリー伊藤さんのために作られた曲なんです。
歌はジェリー伊藤さんが最初でしたが、レコード化はあとの出来事でした
永遠の名曲『誰もいない海』を、最初に歌ったジェリー伊藤さんですが、レコード化されたのは、大木康子さんやトワ・エ・モワさんよりも遅く、1971年の発売です。3コーラス目は、ジェリー伊藤さん本人が書いた英語詞になっています。
「どんな声か、聴いてみたいな」という芥川さんのリクエストにお応えして、ジェリー伊藤さんの歌声を聴いていただきました。
ジェリー伊藤さんの『誰もいない海』のレコードに針を置くと、芥川さんの表情が変わりました
ちなみに『誰もいない海』の作詞は山口洋子さん。といっても作詞家の山口洋子さんではなく詩人のほうです。作曲は内藤法美さん(越路吹雪さんのご主人)で、編曲が服部克久さん。
ジェリー伊藤さんの歌声はいかに? そっと針をレコードに落とすと……。気になる歌声は放送で!!
番組のスタジオライブでは、今の季節にぴったりな『虹と雪のバラード』と『地球は回るよ』を披露していただきました。どうぞ、2月1日放送の番組をご覧ください。
放送は2月1日です。お楽しみに!
(※1)トワ・エ・モワは、1969年シングル『或る日突然』でデビュー。『空よ』『誰もいない海』『虹と雪のバラード』など数多くのヒット曲を生む。1973年6月解散。1997年に24年ぶりに再結成し、「同じキーで唄える限り活動を続ける」という方針で現在に至る。デビュー50周年記念6枚組CDボックス『FOLK&POP』も好評発売中
(※2)大木康子。シャンソン歌手。平岡精二クインテットの専属歌手として1962年にデビュー。1968年CBSソニーから『誰もいない海』を発売
(※3)ジェリー伊藤。歌手・俳優。父は英米で活躍した伝説的な日本ダンサー伊藤道郎、母はアメリカ人。ニューヨーク・ブロードウェーでミュージカル俳優として活躍し、来日後、ミュージカル『天皇のベッド』『王様と私』、映画『モスラ』などに出演した
タレント、音“楽”家(おんらくか)。
邦楽、洋楽問わず、音楽好きが高じて、番組出演にとどまらず、テレビやラジオの番組監修、構成、音楽解説なども手掛ける。TOKYO MX『
ミュージック・モア』(毎月第1・第5土曜日午前11時30分放送)ではレギュラーMCを務める。