更新日:2021年03月31日 23:25
エンタメ

『SOMEDAY』は背水の陣、『アンジェリーナ』はヒットしないと…。佐野元春デビュー40周年を語る

―[クリスのお宝箱]―
クリス松村が大好きなアイドルからシティポップ、歌謡曲まで、魅力的なアーティストをゲストに招き、とっておきの情報や気になっていたエピソードを、楽しいトークから聞き出す「クリスのお宝箱」。今回は、どんなこぼれ話が飛び出す?  今回のインタビューのお相手は、デビュー40周年を迎えられた佐野元春さん! 私にとって、初めてお会いする憧れの人なので、とても緊張しました。  スタッフも、青春時代に佐野さんの曲を聴きLPを買った世代ばかりなので、スタジオの中はいつになく緊張感に包まれていました。
佐野元春

番組は4月3日放送4月(4月10日午後11時と24日午後9時にも再放送)。佐野さんとの「音楽トーク」を堪能ください

 実は私、3月13日の武道館コンサート、「ヤァ!40年目の武道館」に、いちファンとして参加していたんです。この日は佐野さんの誕生日! 特別な日の40周年記念公演でした。  観客はみんなマスクをつけ、声を出さず、咳もせず、それでも心の中では、佐野さんと一緒に歌っているのが伝わってきました。あの大きなステージで熱唱する佐野さんに、目の前でお会いできる、そう思うと緊張しないわけがないんです。  そこに、素敵な笑顔で現れた佐野さん! 私に近づくなりに「ひじタッチ」を! 予想もしなかった「ひじタッチ」に、張り詰めた空気が一気に和んだんです。

背水の陣だった『SOMEDAY』、大滝詠一との出会いが大ヒットに!?

 1980年、EPICソニーから、シングル『アンジェリーナ』でデビューした佐野さんを私が初めて知ったのは、TBSラジオ「林美雄のパックインミュージック」でした。この看板コーナー「ユア・ヒットしないパレード」で、『アンジェリーナ』が1位に輝いたんです。 「僕も聴いていました“ヒットしない”というのは複雑な気持ちでしたが、僕の曲がラジオから流れたてきたときは、嬉しかったですね!」と佐野さん。  デビュー3年目の1982年! アルバムのアレンジャーとして関わっていた伊藤銀次(※1)さんの紹介で、大滝詠一(※2)さんに出会い、『A LONG VACATION(ロング・バケイション)』のレコーディングを見学することができたそうです。  大滝さんのレコーディング技術は初めて見るものばかりで、「これだ!」と触発され、3枚目のアルバム『SOMEDAY』の制作にとりかかった佐野さん。初のセルフプロデュースで、もし売れなかったら音楽をやめようと、背水の陣で挑んだ1枚でした。このアルバムが大ヒット! シングル『SOMEDAY』は、いまも愛される名曲となっています。

大ヒット曲『約束の橋』は、ロンドンの古ぼけたアパートで生まれた!

 佐野元春さんが音楽に目覚めるキッカケは何だったのか? 意外なお話が伺えました。 「子供の頃は孤独な少年だった」と照れながら話す佐野さん。  両親は僕のことを分かってくれない。友達ともケンカばかり、自分って何なんだろう、と悩んでいたのが、小学5年生の頃……、そのとき、ラジオから流れてくるロックを聴いて励まされた、と言うんですね。  なかでも好きだったのがモンキーズ(※3)。あんなふうに詞を書いて、曲を作って、歌えたら……、という思いが12歳から芽生え、10枚目のシングル『グッドバイからはじめよう』(1983年発売)は、中学生の頃に作った曲だそうです。 『SOMEDAY』で大ブレイクした佐野元春さん! 全国ツアーはソールドアウト! まさに“佐野元春ブーム”が巻き起こる中、ツアーの最終日、アンコールに応えて、『グッドバイからはじめよう』をピアノの弾き語りで披露し、その2か月後、渡米し、ニューヨークでの生活が始まります。 「ニューヨークに行こうと思ったのは、独自のサウンドを作りたいという気持ちがあって、日本ではなく、ニューヨークで出会ったミュージシャンと新しいものを作りたかった」  さて、「その新しいもの」とは、一体何だったのでしょうか……。今では、お馴染みの音楽ですが、80年代、日本には、まったく知られていなかった新しいブラックミュージックを大胆に取り込んで4枚目のアルバム『VISITORS』が制作されました。ニューアルバムを楽しみに待っていたファンが、1曲目から度肝を抜かされたというのは、あまりにも有名な話です。
クリス松村

大ヒット曲『約束の橋』の誕生エピソードに驚くクリス松村

 そして、6枚目のアルバム『ナポレオンフィッシュと泳ぐ日』(1989年発売)は、アルバムタイトルが初めての日本語で、収録曲のタイトルも全て日本語。しかし、レコーディングはロンドンで、現地のミュージシャンやプロデューサーを起用し、大ヒット曲「約束の橋」が収録されています。  この曲が生まれたのは、ロンドンの小さなアパート。それも、かなりの古びたアパートだったらしく、佐野さんの話では、シャワーが壊れていて、冷たい水しか出ず、毛布にくるまり、ソファーで震えながら、「君は行く…」と書いた作品だとか。  番組では、佐野元春さんの意外なエピソードをたっぷり伺っています。迫力のライブ映像とともに、どうぞ、お楽しみに! (※1)伊藤銀次。70年代初頭の“日本語ロック”の黎明期から、シンガーソングライター、ギタリスト、アレンジャーとして活躍。1979年にデビュー直前の佐野元春との出会い、80年代前半にはザ・ハートランドのギタリストとして活動を共にする。敏腕プロデューサーとしても知られる存在 (※2)大滝詠一。歌手・音楽プロデューサー。1970年、細野晴臣や松本隆らとロックバンド「はっぴいえんど」でデビュー。1972年の解散後はソロとして活動。松田聖子『風立ちぬ』や小林旭『熱き心に』など、楽曲提供も行う。2013年12月死去(享年65歳) (※3)モンキーズ。ビートルズに対抗するアメリカのグループとして1966年に結成した4人組バンド。デビュー曲『恋の終列車』をヒットさせ、主役を務めたテレビ番組で人気を誇った。『アイム・ア・ビリーバー』『デイドリーム・ビリーバー』『すてきなバレリ』などのヒットを連発した
タレント、音“楽”家(おんらくか)。 邦楽、洋楽問わず、音楽好きが高じて、番組出演にとどまらず、テレビやラジオの番組監修、構成、音楽解説なども手掛ける。TOKYO MX『ミュージック・モア』(毎月第1・第5土曜日午前11時30分放送)ではレギュラーMCを務める。
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