野口五郎編Part1
アナログ盤、CD、DVDなど約2万枚以上。さらに雑誌やポスター、グッズ、珍品なども所有し(現在も収集中)、アーティストからも認められるほどの大の音楽ファンのクリス松村が、MCを務める『ミュージック・モア』で秘蔵のコレクションからとっておきの1枚を披露!
今回の『ミュージック・モア』は、待ちに待った素敵なお客様、今年デビュー50周年を迎えられた野口五郎さんです。
野口五郎さん
五郎さんは15歳でデビュー! あっという間に人気アイドルに駆け上り、西城秀樹さん、郷ひろみさんとともに、“新御三家”と呼ばれました。
歌手になるきっかけは、11歳のとき、『ちびっこのど自慢』での優勝でしたが、歌よりも先にギターを6歳から始め、エレキギターは10歳から。五郎さんはギタリストとしての経歴のほうが長いんですね。
ということで、オープニングナンバーはギタリストとしての魅力をもっと知っていただこうと、私が大好きな曲、『女になって出直せよ』をリクエストしました。そのギターテクニックは、番組でどうぞ!
日本人歌手で「アーティスト」と名乗ったのは野口五郎が最初だった!?
野口五郎さんがデビューしたのは1971年、『博多みれん』という演歌でした。
なぜ、演歌だったんですか?
「いろいろ大人の事情がありまして……」(野口五郎)
でも、同年に発売した2枚目のシングル『青いリンゴ』は、軽快なポップスで瞬く間に大ヒットし、人気アイドルに!
さらに、デビュー2年目には、ロンドンでのレコーディングが決定! 憧れのロンドンで、「せっかくなら外国人のミュージシャンとレコーディングをしたい」と言った五郎さん!
13歳で岐阜県から上京し、15歳でデビュー。17歳でロンドンレコーディングを果たした野口五郎さん
「誰としたいの?」とスタッフが聞くと、「リンゴ・スター」と答えたというから驚き!
そのとき五郎さんは17歳! 結局、いろいろと条件があわずに、リンゴ・スターとの共演は叶いませんでしたが、「リンゴ・スターとやりたい」といったアイドルは、五郎さんのほかにはいないと思います!
さて、ロンドンに着いたときに、こんなエピソードがあったそうです。空港の入国審査で、五郎さんは入国カードの職業欄に「artist」と書いたら、1時間ぐらい審査官にあれこれ質問されたそうです。
「え! クリスさん、僕が忘れていたこと、どうして知っているんですか」(野口五郎)
当時のインタビュー記事に、ちゃんと書いてありましたよ……。
今でこそ「アーティスト」という言葉は普通に使われていますが、70年代の日本人歌手で、自らを「アーティスト」と名乗ったのは、間違いなく野口五郎さんが、最初だったと思います。
そんな五郎さんのためにご用意した「クリスのお宝箱」は、1980年に発売された、野口五郎10周年記念特別盤『歌そして愛』です。LP⑤枚組プラス1枚という6枚組のベストアルバムで、デビュー曲『博多みれん』から『愁雷』まで、全65曲を収録しています。
「クリスのお宝箱」から、40年前に発売した野口五郎10周年記念特別盤『歌そして愛』
プラス1枚というのは、五郎さんの作曲・編曲・演奏・歌の未発表多重録音とナレーションなどが収録。つまり、自分の思い通りに作りたかった音楽を、1枚に収めているんです。
そのタイトルが、『MUSIC IN MY POCKET 2020年銀河はいつもカーニバル』。2020年って、今年ですよ! まさに今、カーニバルの50周年を迎えているんですよね!
「え? そうなんですか、覚えていないです。すごい、タイムマシーンじゃないですか」(野口五郎)
この6枚目のレコードは、緑のカラーレコードです。
自ら作曲・編曲・録音を手がけたアルバム『MUSIC IN MY POCKET 2020年銀河はいつもカーニバル』
この中に入っていたライナーノーツ(解説文)に、五郎さんが、こんなことを書いています。
「長年の念願であったワンマンプレイのレコード…、やっと出すに至りました。自分のスタジオで、いままで何曲も作っていましたが、なんせ、時間がなく、やっとLP1枚分が出来た頃には最初の曲が古く感じ、代わりの曲が出来上がった頃には次の曲が古くなっている…」
果たして、40年が経った今、その曲が古くなっているのか、聴いてみました。
カラーレコードに針を落とすと、軽快なエレキギターの音色が!
五郎さんも40年ぶりに聴くという自ら作曲・編曲した『Zig-Zag』。軽快なギターサウンドが流れてくると、当時のことを思い出したのか……。
「やばい、泣いちゃうよ、俺」と、両手で顔を覆う五郎さん。
40年の月日が経っても、まったく古さを感じさせず、いまも輝き続ける素敵な曲でした。
当時を思い出す野口五郎さん
スタジオライブでは、私のリクエスト『女になって出直せよ』と、主演映画で主題歌にもなった『季節風』を披露していただきました。オーケストラも入る大きなスタジオで、五郎さんを含めて7人のプレーヤーが、それぞれのブースに入って、見事なセッションを繰り広げます。6月18日放送の番組で、どうぞご覧ください。
タレント、音“楽”家(おんらくか)。
邦楽、洋楽問わず、音楽好きが高じて、番組出演にとどまらず、テレビやラジオの番組監修、構成、音楽解説なども手掛ける。TOKYO MX『
ミュージック・モア』(毎月第1・第5土曜日午前11時30分放送)ではレギュラーMCを務める。