伊藤銀次編
アナログ盤、CD、DVDなど約2万枚以上。さらに雑誌やポスター、グッズ、珍品なども所有し(現在も収集中)、アーティストからも認められるほどの大の音楽ファンのクリス松村が、MCを務める『ミュージック・モア』で秘蔵のコレクションからとっておきの1枚を披露!
今回の『ミュージック・モア』は、ソーシャルディスタンスを心がけ、スタジオ内のスタッフを極力減らしての収録です。ゲストの伊藤銀次さんは、別室からリモート出演! お互いの顔をモニターで見ながらのトークになりました。
スタジオライブは、伊藤銀次さんのほかに、ギター、ベース、キーボード、ドラムの4人のみなさんが演奏するということで、“リモートライブ”に挑戦!
伊藤銀次さんとバンドメンバーのみなさん
どのように収録したかといいますと……。
「いつもライブでは同時演奏ですけど、今回は、最初にドラムとベースを録って、次に僕が歌って、そのあとにキーボードとギターを順々に入れていく方法をとりました。これなら、3密にならないので」(伊藤銀次さん)
こんなことができちゃうんですから、プロのミュージシャンって、ホント、スゴイと思います。
さあ、今回のゲスト、伊藤銀次さんですが、1972年に大阪で結成したバンド「ごまのはえ」でデビューされ、アルバムを作るとき、断られるのを覚悟して、大滝詠一さんにプロデュースをお願いしたそうです。
「おお、いいよ。ただし東京に出てこないとやらないよ」
大滝さんにそう言われ、大阪から上京してみると、大滝詠一さんをはじめ、山下達郎さん、坂本龍一さん、大貫妙子さんたちと出会う運命が待っていた、というから驚きです。
「すべてはあの時から始まりましたね」(伊藤銀次さん)
時代を経ても色褪せない名曲『DOWN TOWN』の誕生秘話
山下達郎さんが結成したバンド「シュガー・ベイブ」は、大貫妙子さんや伊藤銀次さんもメンバーで、1975年にリリースしたアルバムが『SONGS』。ここに収録されている『DOWN TOWN』がどのようにして誕生したのか、ご本人に伺うと意外や意外……。
シュガー・ベイブのデビューアルバム『SONGS』について、思い出を語る伊藤銀次さん
「もともと『キングトーンズ』(※)のためということで、若いミュージシャンたちに制作依頼があったんです。山下達郎くんも僕も別々に頼まれたんですよ。僕は『♪DOWN TOWNへくり出そう~』のフレーズが先にできたんです。黒人のコーラスグループが歌って踊れるような曲のイメージで。でもほかのフレーズができなくて、山下くんに電話したら、『何も作っていないから一緒にやろうか!』となって、彼のところへ行くと、どんどんメロディができてくるんです。そのメロディに合わせて詞をつけていったら、あっという間にこの曲ができちゃったんです」
シュガー・ベイブのデビューアルバム『SONGS』(1975年発表)
名曲というのは、意外にもこんなふうにできちゃうものなんですね!
結局、「キングトーンズ」のレコードの企画がなくなって、ナイアガラ・レーベルから「シュガー・ベイブ」のデビューアルバム『SONGS』を出し、そこに『DOWN TOWN』が入っています。
帯には、こんなコピーが……。
「決定!! ニューミュージックへの道 全ての音楽の進むべき道がここに見えた」
実は「♪お昼休みは、ウキウキWATCHING!」の作曲も……
大滝詠一さん、山下達郎さんとともに「ナイヤガラ・トライアングル」に参加した話、1979年『真夜中のドア~Stay With Me~』が大ヒットした松原みきさんのバックバンドのリーダーを務めた話、アン・ルイスさんの『ラ・セゾン』(作詞:山口百恵、作曲:沢田研二)の編曲を担当した話など、興味深い話ばかりです。
伊藤銀次さんはアレンジャー、プロデューサーとして、デビュー当時の佐野元春さん、1990年代になるとウルフルズのアルバムを手掛けるなど多方面で活躍。
トーク中に、ギターの弾き語りで『ウキウキWATCHING』を披露する伊藤銀次さん
そして、毎日お昼に誰もが聴いた、あの曲! タモリさんが司会をしていた『笑っていいとも!』のオープニングテーマ『ウキウキWATCHING』の作曲も、伊藤銀次さんです!
ちょっと、歌っていただけませんか、とお願いしたら、ギターを片手に、弾き語りを披露していただきました。これは、貴重ですよ!
♪お昼休みはウキウキWATCHING あっちこっちそっちこっちいいとも!
まるで同時録音をしているかのように見えるリモートライブは、番組でぜひ!
伊藤銀次さんにスタジオライブで披露していただいた曲は、私のリクエストで『Destination』、それと最新アルバムから『誰もがきっと ~想い出に守られて~』。見事なリモートライブを、6月11日放送の番組で、どうぞご覧ください。
(※)「ザ・キングトーンズ」は、日本の元祖R&B、ドゥー・ワップ・グループで、1968年『グッドナイト・ベイビー』がヒットした。リード・シンガーである内田正人さんは2019年2月15日死去
タレント、音“楽”家(おんらくか)。
邦楽、洋楽問わず、音楽好きが高じて、番組出演にとどまらず、テレビやラジオの番組監修、構成、音楽解説なども手掛ける。TOKYO MX『
ミュージック・モア』(毎月第1・第5土曜日午前11時30分放送)ではレギュラーMCを務める。