転職した矢先のコロナ禍、銀座レストランで働くソムリエの不安
コロナの影響で大打撃を受けた飲食業界を国が支援するべく始まった「Go To Eatキャンペーン」。それを利用して外食する人もいるのだろうが、現在も多くの飲食店が厳しい状況に置かれている。
飲食店で働く知人のアルバイト男性は、思うようにシフトに入れない状態が続いており、大幅な収入減になっていると言う。また、高級ホテルや飲食チェーン店勤務を経て、現在は銀座一等地のレストランでソムリエをしている大泉さん(40代・仮名)は、「ある日突然、オーナーから『店を閉める』と言われるんじゃないかとビクビクしています」と不安を吐露する。
「私が働いている店は一等地にあるので、とにかく家賃が高い。コロナうんぬんとは関係なく、以前から赤字だったんですけどね。別の場所にも系列店があるため、どうにかやっている様子でした」
もともと赤字だったことに加えて、コロナが拍車をかけた。じつは大泉さんが同店で働き始めたのは今年2月のはじめ。コロナ禍の初期とも呼べるタイミングだった。
「その頃はすぐに収まるだろうと楽観視していましたね。週末のランチ、ディナーは予約客で普通に埋まっていたので。ところが、3月に入ってから一変しました。ディナーの予約は1日で1組か2組、明らかにお客さんが入らなくなり、いよいよ月末にはゼロ。さすがにヤバイと感じました。まわりの店も似たような状況でしたね」
そして4月に入ると、丸々2か月間に渡って休業となったのだ。
今回のコロナ禍は転職した矢先の出来事である。
「現在の店の社長にスカウトされたんです。前の店が楽しかったので、一度は断ったんですが、しばらくすると『また話がしたい』と言うのです。そして、『好きな条件で構わない』ということで、希望の給料を伝えて転職を決意しました」
休業していた間、実際に給料は支払われたのだろうか。
「オーナーがお金持ちのようで、給与はきちんと全額でました。前の職場の人に聞いたら70%しかもらえなかったようです。その店舗は今月、閉めることになったみたいで。移ってきてよかったです。私は専業主婦の妻と2人の子どもを抱えているので、もしも給与が削られてしまうのなら、ウーバーイーツや、何かアルバイトしようと思っていましたよ」
幸いにも給与は支払われたが、店としては社員を持て余していたという。
「接客マニュアルの動画が送られてきました。そのほか勉強することもありましたが、すでに経験を積んできた私にとっては、退屈なものでしかなかったですね」
大泉さんは「こんなはずではなかった」と肩を落とすが、いま、彼が働く銀座のレストランの現状はどうなっているのだろうか。
赤字の店舗にコロナが追い討ち
給料の良いレストランに転職した矢先に…
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