YOASOBIの仕掛け人が語る、ヒットアーティストの生み出し方
CDが売れないと言われる時代、世に羽ばたいていく音楽アーティストは“ネット”から生まれると言っても過言ではない。
胸に響くメロディや歌詞、観るものを魅了する独特の世界観……。こうした人の心の琴線に触れる音楽が、ふとしたきっかけでSNSで広まり、思いも寄らぬ形で世に知れ渡っていく。
そんななか、彗星のように突如として音楽シーンへ現れたのが「YOASOBI」だ。2019年10月に結成し、1ヶ月後に第一弾楽曲「夜に駆ける」のMVをYouTubeで公開したところ、瞬く間に話題となる。以後もさまざまな音楽チャートを席巻し、第一弾楽曲発表から1年でNHK紅白歌合戦の出場を果たすなど、驚異的なスピードで駆け上がった新進気鋭のアーティストとして知られている。
2021年12月に公開のBillboard JAPANチャートでは、「夜に駆ける」がストリーミングの累計再生回数7億回を突破するなど、今なお快進撃を続けているのだ。なぜ、これほどまでにYOASOBIは短期間にヒットアーティストへと成長したのか。
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屋代さんは、2017年よりサービスを開始した小説投稿サイト「monogatary.com」の立ち上げから携わり、サービスの運営企画を行っている。
ある日、同期の山本さんと何気ない雑談をしているなかで“小説を音楽にする”というプロジェクトの案が浮かんだそうだ。
「小説を音楽にすること自体、新しい試みだったので正直やってみないとわからない状態でした。ただ漠然と決まっていましたが、まずはやってみようと企画を詰めていった感じです。そして、毎年サイト内で開催しているコンテスト『モノコン2019』のなかで、ソニーミュージック賞で大賞に輝いた小説を楽曲化する取り組みを行ったのが、YOASOBIが誕生するきっかけになっています」(屋代さん)
ソニーミュージック賞で大賞に選ばれた作品は「タナトスの誘惑」(星野舞夜 著)。この小説をもとにして、楽曲制作を進めていくことになる。
だが、小説と音楽は一見親和性のないようにも感じる。その辺りは当初、どのように捉えていたのか。
屋代さんは「ボーカロイドのカルチャーと小説は比較的近い距離にあったと認識していました。というのも、音楽作品を元に小説を書いたり、どちらも同時に作ったりするクリエイターがいて、シーン自体が存在するのを知っていたので、そこまで違和感はなかったです」と語る。
「YOASOBIプロジェクト」を立ち上げたソニー・ミュージックエンタテインメント(以下 SME)の山本秀哉さんと屋代陽平さんに、YOASOBIが誕生した背景や次世代アーティストの未来について話を聞いた。
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「小説を音楽にする」企画は何気ない雑談から始まった
1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている
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