“タワマン節税”に国税庁のメス。富裕層の嘆き「相続が3代続くと財産はなくなる」
2024年1月から、国税庁が「タワマン節税」の対策を強化すると話題になっている。マンションの実勢価格と相続税評価額との間に大きな差があり、高層階のタワマンを購入することで大幅な相続税の節税になるというものだ。この「タワマン節税」が使えなくなると、富裕層や収益不動産投資家にはどのような影響があるのか。
「地主の参謀」として地主専門に資産防衛コンサルティングを行っており、最新刊『地主の決断 これからの時代を生き抜く実践知』(サンライズパブリッシング刊)などの著書を持つ松本隆宏氏に話を聞いた。
「国は私たちの資産を一定の基準を用いて評価し、その額に応じて相続税を算出します。現金や株式は時価のままで評価されますが、土地やマンションなどの不動産は時価よりも低くなります。マンション各戸の土地評価は、総専有面積に対する自分の専有面積の割合で決まるため、土地の面積に対して総戸数が多いタワーマンションは、各戸の土地の持分が小さくなり、土地の評価額も低くなります。
特に高層階にある物件は、時価の2~3割程度で評価されることもあるため、1億円の現金をタワーマンションに交換すれば、3,000万円程度で評価されることもあり、相続税対策としてタワーマンションの高層階を購入することが注目されるようになっていました」(松本隆宏氏)
日本経済新聞の試算によると、築9年、43階建ての東京都内タワーマンションの23階を子供1人が相続した場合、実勢価格が1億1900万円だと、従来の評価額は3720万円となり、相続税額は約12万円だった。ところが新しい評価額だと約7140万円となり、相続税額は約508万円になる見込みだ。
タワーマンションのこのいきすぎた節税スキームが多発したために、国税庁は課税強化の動きを強めてきた。富裕層や収益不動産投資家にとっては、節税の一つの手法が封じられることになる。
「相続が3代続くと財産はなくなる、という話を聞いたことはありませんか? なにもこれは先代が築き上げた資産を二代目、三代目が食いつぶすといったものではなく、実際に相続によって資産は失われてしまうのです」(同)
「祖父の財産は10億円、各世代にきょうだいが2人いると設定すると、10億円の資産が父に、そして本人、子どもにと相続が3代続いた場合、資産は6400万円まで減ることになります。なぜ、ここまで大きく減ってしまうのでしょうか。
それは、『3代の相続』といっても、実際には6回の相続が発生しているからです。祖父・父・本人には妻と子どもがいると設定すると、妻と子は全員法定相続人です。つまり、3代の相続であっても実際には6回の相続が発生しているのです。そのため、10億円あった資産も、最初の相続で3億3000万円にまで一気に減り、3代の相続を終えた時点では6400万円になっているというわけです。
加えて、2023年現在、日本の相続に対する最高税率は6億円を超えた部分に対して最大55%で、これは世界でもトップクラスの高さ。これが、『3代相続すると資産がなくなる』といわれる所以なのです」(同)
封じられる「タワマン節税」
相続が3代続くと財産はなくなる
ライフマネジメント株式会社代表取締役。1976年、神奈川県相模原市生まれ。高校時代は日大三高の主力選手として甲子園に出場。東京六大学野球に憧れ法政大学へ進学。大学卒業後、住宅業界を経て起業。「地主の参謀」として資産防衛コンサルティングに従事し、この10年で数々の実績を生み出している。また、最年少ながらコンサルタント名鑑『日本の専門コンサルタント50』で紹介されるなど、プロが認める今業界注目の逸材。
ラジオ大阪OBC(FM91.9 AM1314)にて、毎週水曜日19:45~20:00「松本隆宏の参謀チャンネル®︎」を放送中。
著書に、『地主の参謀―金融機関では教えてくれない資産の守り方』(2018年、エベレスト出版)、『アスリート人材』(2022年、マネジメント社)、『地主の決断―これからの時代を生き抜く実践知』(2023年、サンライズパブリッシング)、『地主の真実―これからの時代を生き抜く実践知』(2023年、マネジメント社)、『プロたちのターニングポイント』(2024年、サンライズパブリッシング)、
『アスリート人材の底力 折れない自分のつくり方』(2024年、サンライズパブリッシング)がある。
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