更新日:2023年12月01日 17:10
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臭いし、気持ち悪い…しかも「寄生虫のリスク」もある“腐ったチーズ”を食べてみた結果

 日本では納豆や鮒ずし、くさやが有名だが、海外にもドリアンやブルーチーズ、シュールストレミングなど国内外に数多く存在する臭い食べ物。万人受けするとは言い難く苦手な人も少なくないが、その一方で大好きという人がいるのもの事実。ただし、なかには見た目からして吐き気を催してしまいそうな嗅覚だけでなく視覚でも刺激する臭い食べ物も存在する。  そんなトンデモ食材を口にした経験を持つのは、食品貿易会社に勤める戸川誠一さん(仮名・44歳)。今から10年前、出張でイタリアのサルディーニャ島を訪れた際、取引先の担当者から「門外不出の珍しいチーズがあるんだが、食べに行かないか?」と誘われたとか。彼は新規の食材の仕入れも行っていたため、この提案を二つ返事でOKしたそうだ。
カース・マルツゥ

画像はイメージです

ブルーチーズを上回る強烈なチーズ臭…

「『行ってからのお楽しみ』って詳細は教えてくれませんでしたがイタリア食材ならハズレはないと思ったし、日本未発売なら輸入すれば話題になるなって。だから、最初はかなり期待していました」  戸川さんが連れてこられたのは、とある酪農家の自宅。最初に出されたのは、自家製だという羊乳で作ったペコリーノチーズ。イタリアを代表するチーズのひとつだが、サルディーニャ産は「ペコリーノ・サルド」と呼ばれ、島の名産品にもなっている。 「絶品でしたが日本でも販売されており、特に珍しいものではありません。そのことは相手も知っているはずですし、不審に思っていたら『とっておきはこれからさ』と案内されたのは母屋の隣にある小さな蔵のような建物。中に入り、奥の小部屋の扉が開けられた瞬間、ブルーチーズを上回る強烈なチーズ臭に襲われました

吐き気を覚えた“腐ったチーズ”

 ちなみに臭いの正体は、サルデーニャ語で“腐ったチーズ”を意味する「カース・マルツゥ」。ペコリーノチーズ同様、羊乳原産のチーズだが、製造方法があり得ない方法なのだ。  そのカギはなんとハエの一種であるチーズバエ。卵を産み落とさせ、ふ化した幼虫、つまりウジ虫がチーズを食べることで通常のチーズでは不可能なレベルの発酵を促して熟成させるというのだ。 「しかも、よく見るとチーズの表面には無数のウジ虫……。ドン引きを通り越して、正直吐き気を覚えたほどです。それなのに『せっかくだし食べてみるか?』って。臭いだけならなんとかなりますけど、さすがにウジ虫が湧いてるチーズですからね。一応、ピンセットで摘まんで取り除いてくれたけど、担当者も農家の方も終始ニヤニヤしてるし、あの時は2人が悪魔に見えましたよ」  とはいえ、この状況でNOと突っぱねることはできず、意を決して口に入れることに。すると、意外にもチーズ自体は非常に美味しかったそうだ。
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イタリア以外では販売禁止?
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ビジネスや旅行、サブカルなど幅広いジャンルを扱うフリーライター。リサーチャーとしても活動しており、大好物は一般男女のスカッと話やトンデモエピソード。4年前から東京と地方の二拠点生活を満喫中。

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