更新日:2023年09月11日 17:45
ライフ

先進国の中で圧倒的に短い日本の「平均睡眠時間」…一級建築士が警告する“短睡眠リスク”

 こんにちは、一級建築士の八納啓創と申します。会社員の方から上場企業の経営者宅まで、住む人が幸せになる家をテーマにこれまで120件の家づくりの設計に携わってきました。『日刊SPA!』では、これまでの経験を生かし、「これからの時代に必要な住まいの姿」をテーマにお伝えしていきます。  さて、2023年7月は「史上最も暑い月」と呼ばれ、国連事務総長が「地球沸騰の時代が来た」というぐらいの記録的な暑さが続き、まだまだ予断を許さない状況です。  家の中で熱中症にかかる人も増えています。今年の7月にはエアコンをつけずに寝た高齢者の夫婦が亡くなるというニュースもありました。  私は一級建築士として、家の中で起こる様々な事故を未然に防ぐための方法をお伝えしています。今回は、生命の根本に深くかかわる「睡眠」について取り上げたいと思います。  なぜなら、他の先進国と比べても、日本人は睡眠に対しての意識が低く、それゆえに先述したような熱中症に繋がる事故も多発しており、非常に緊急性が高いからです。  本記事では、睡眠問題について具体的にどのように対処していけばいいかを紹介していきます。
眠れない男性

©beeboys

「日本人の平均睡眠時間」はOECD加盟国の中でも断トツに短い

 
OECD加盟各国における平均的な睡眠時間

OECD加盟各国における平均的な睡眠時間 「OECD(経済協力開発機構)2018年の国際比較調査(Gender Data Portal 2019)」を基に作成

 OECD(経済協力開発機構)の調査によると、加盟している国の中では日本の平均睡眠時間が6時間48分とOECD平均の8時間25分に比べると1時間以上も短いことが分かります(2022年)。また、日本人の約4割の睡眠時間が6時間未満であると厚生労働省が発表しています(2023年)。  先進国も平均睡眠時間はほとんどが8時間以上なので、その差は歴然です。  その理由として、実は日本人は住環境や生活習慣に関して、質を高めることに対して意識の低い部分があります。

短い睡眠時間が及ぼすリスク

 例えば、真冬に室温が15度ぐらいしかなくても、日本人は我慢して過ごすのが普通だと思っているかもしれません。その一方で例えばドイツにおいては、外出時も含めて暖房をつけっぱなしにして、室温を20度以上に保つことが当然の権利だとされています。  睡眠に関してもそうです。質を高めることや睡眠時間の確保に意識が向かないのでしょう。  ところで睡眠時間が短いと、日常的にどういった影響を及ぼすかというと、まず挙げられるのは、寝不足による脳や体の慢性疲労化です。加えて寝不足は免疫力低下にもつながります。さらに、冒頭で述べた熱中症にもかかりやすくなります。  これらのことから、睡眠改善に取り組むことの重要性がお分かりになったのではないでしょうか。ここからは、今住んでいる家で睡眠のクオリティを高めるためにやっておきたいポイントをお伝えします。
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部屋を真っ暗にする工夫をする
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1970年、神戸市生まれ。一級建築士、株式会社G proportion アーキテクツ代表取締役。「地球と人にやさしい建築を世界に」をテーマに、デザイン性、機能性、省エネ性や空間が人に与える心理的影響をまとめた空間心理学を組み込みながら設計活動を行っている。これまで120件の家や幼保園、福祉施設などの設計に携わってきた。クライアントには、上場会社の経営者やベストセラー作家をはじめ「住む人が幸せになる家」のコンセプトに共感する人が集い、全国で家づくりを展開中

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