JAL対ANA「フラッグシップ機材」40年競争の悲喜こもごも。サービス合戦で“消費者にメリット”も
2023年内をめどに、JALは国際線で使用する主力機に19年ぶりとなる新造機エアバスA350-1000を迎え入れる。先ごろJALが発表した機体詳細では、座席数はファーストクラス6席、ビジネスクラス54席、プレミアムエコノミークラス24席、エコノミークラス155席の計239席となった。
この機体はフラッグシップとも呼ばれ、エアラインが自社の最上級サービスを提供する主に国際線の長距離に投入する基幹機材を意味する。
各種英語辞書では「組織が所有または生産する最良または最も重要な 製品、アイデア、建物など」と説明している。過去にも、同様に各時代に合わせたフラッグシップが導入されていた。JALの新機材導入を機に、過去ANAとの間で導入競争となった機材競争を振り返ってみたい。
両社のフラッグシップの歴史は、JALで初めての国際線を飛んだ時に使われたDC-6B、初めてのジェット機DC-8などが浮かぶ。ANAでは初めてのジェット機ボーイング727、大量輸送時代のロッキードL-1011トライスターなどが候補に挙がる。
筆者は、JALに追い付けとANAが国際線に就航した1986年がベンチマークの年になると考える。ANAは同年3月にロッキードL-1011トライスターで成田からグアムに飛んでおり、同じく7月にはボーイング747-200Bで成田からロサンゼルスに就航している。
さらには同月に成田からワシントンD.C.線にも路線を拡大した。この時点で、ボーイング747同士で長距離国際線のサービス合戦が始まったと言っていいだろう。
比較として、カンタス航空が2025年にシドニーからロンドンとニューヨークへの20時間も飛行する世界一長距離の路線に投入する同型機の座席がファースト6席、ビジネスクラス52席、プレミアムエコノミークラス40席、エコノミークラス140席の計238席とほぼ同じである。
世界一座席数の少ない機材を運航する予定のカンタス航空に1席多いだけの世界で2番目に席数の少ないA350-1000を運航するのがJALになる。
フラッグシップとは
フラッグシップ導入の歴史
航空会社勤務歴を活かし、雑誌やWEBメディアで航空や旅に関する連載コラムを執筆する航空ジャーナリスト。YouTube チャンネル「そらオヤジ組」のほか、ブログ「Avian Wing」も更新中。大阪府出身で航空ジャーナリスト協会に所属する。Facebook avian.wing instagram@kitajimaavianwing
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