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「新しい学校のリーダーズ」が世界中の人々を魅了している理由。“主体的なアイドル”が成功したワケ

文/椎名基樹

人々を魅了する「新しい学校のリーダーズ」の可能性

 今年の夏前あたりから、私が見ているSNSに「新しい学校のリーダーズ」が、やたらと出現するようになった。常にスマホをいじり倒しているから、自分が今どのアプリでその動画を見ているのか、入り口はどこからだったのかはっきりとはわからない。  学校制服姿で揃ったダンスを見せる女の子たちはそれまでにもいて、私はそれがあまり好きではなかった。非常に訓練されたダンスなんだろうけど、なんだかクソ真面目でつまらなく思っていた(単なるバイアスでごめんなさい)。  新しい学校のリーダーズもその類のものだと思い込み、最初興味を持てなかった。しかし、AIくんの執拗なリコメンドに負けて、新しい学校のリーダーズの動画をクリックしたら、そのままその魅力に引きずり込まれてしまった。私が「女子制服ダンサーズ」に感じていた画一性とは、まるで逆の狂気にも近い衝動を、新しい学校のリーダーズには感じたのだ。まさに、彼女たちのキャッチフレーズ「個性や自由ではみ出して行く」そのままであった。

「主体的なアイドル」が脚光を浴びるとき

「個性や自由ではみ出して行く」というキャッチフレーズは、国語的に稚拙で、言葉を扱うプロが作ったように感じない。彼女たち自身考えたキャッチフレーズのように思える。ダンスの振り付けもすべて、彼女たちが自分自身でしているそうである。  メンバーの年齢は、SUZUKA・22歳、MIZYU・24歳、KANON・21歳、RIN・22歳(2023年12月1日現在)。グループの活動歴は既に8年あり、その間にメンバー自身によって練り上げられたものが、今やっと脚光を浴びているようだ。  現在、フォロワー数日本一だという新しい学校のリーダーズのTikTokでは、実に意味不明のコントを非常にマメにアップしている。それは、例えば4人順番にお尻を触って行って、お尻を触られるたびに振り向くだけという、全く意味不明の内容であるが、なんだか笑ってしまう。こんなバカバカしい内容の動画を他人が考えているとは思えない。  つまり彼女たちは、自分の言葉を持ち、自分でパフォーマンスを考えて、笑いの感覚まで提示しているらしい。これほど主体的なアイドルは、今までいなかっただろう。
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世界を魅了するライブ映像が話題に
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1968年生まれ。構成作家。『電気グルーヴのオールナイトニッポン』をはじめ『ピエール瀧のしょんないTV』などを担当。週刊SPA!にて読者投稿コーナー『バカはサイレンで泣く』、KAMINOGEにて『自己投影観戦記~できれば強くなりたかった~』を連載中。ツイッター @mo_shiina

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